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経営と人事

第3回  「働き方改革」において、経営と人事はいかに連携できるか

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 「働き方改革」の言葉が日々マスコミを賑わしています。

 以前は、多様な働き方、長時間労働の是正、女性の働きやすい環境、テレワークなどと言っても、あくまで人事の労務管理領域の話題で、経営者が中心となって関与するような取り上げられ方ではなかったように思います。

「働き方改革」は経営の一大事に

 ところが最近では、働き方改革は経営者に突き付けられた極めて大きなテーマになってきています。これは安倍首相が、政権にとって働き方改革が一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジだと言っていることが大きな理由でしょう。

 官邸のホームページでは、働き方改革をこのように説明しています。

<働き方改革の実現>
 働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

 政府の具体的な動きとして、2016年8月3日に発足した第3次安倍第2次改造内閣で「働き方改革担当大臣」が誕生し、同年9月27日には安倍首相を議長とする第1回 働き方改革実現会議が開催され、安倍首相自ら参加する会議がすでに6回を数えています。

 第6回の議題は「同一労働同一賃金、長時間労働是正」であり、働き方改革においてまずはここに焦点が絞られてきた感があります。
 今後、政府から企業経営者に対するプレッシャーは相当強くなるでしょう。

改革を推進する経営者

 こうした中で、「政府に言われたから」ではなく、自ら率先して働き方改革を推進している経営者が出てきています。

 その筆頭は、カルビーの松本晃会長兼CEOでしょう。2009年に現職に就き、2011年3月に東証1部上場後、7期連続で増収増益を果たしていますが、その間に行った働き方改革には目を見張るものがあります。

 松本会長は「長時間労働という悪しき労働慣行が日本をダメにしている」「長く働くことが良いことではない。短時間に効率よく働いて、成果を出すこと」「会社の成長のためには女性が活躍することが重要である」などをトップメッセージとして打ち出し、最近の資料では、1ヶ月あたりの平均残業時間は11.6時間とのこと。日本企業においてはかなり少ない方です。
 また、在宅勤務制度は2014年4月から実施し、前日までにメールで申し出ることで、週2日まで在宅勤務が可能でしたが、今年の4月以降には上限日数(週2日)を撤廃するとのことです。
 女性活躍推進にも積極的で、2011年に7.9%だった女性管理職の比率は、2016年には22.1%になっています。

 こうした改革を推進しながら増収増益を達成してきたのですから、働き方を変えることで仕事の効率が高まり、業績成果を出せるということを証明していると言えるでしょう。逆に言えば、働き方改革が業績成果につながらないどころか悪影響を与えるようでは、意味がないとも言えます。

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