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会議の時間を有効活用する、“人財育成”

第7回  「決断力を向上させる」会議

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会議の結論は“納得感”が大事

 さんざん話し合ったのに、最後は役職者などお偉いさんの一言で決められたり、進行係が強引に決定事項をまとめる……このような会議はとても多いです。「終わりよければすべてよし」という言葉もあります。しかし、会議においても決定事項のまとめ方はとても大事です。素晴らしいアイデアがたくさん出て会議が盛り上がっても、決定事項が納得感の低いものだと、後から不平不満を言う人が多くなります。
 会議で決定事項をまとめるとき、事例のように多数決をとる企業は多いでしょう。多数決はメンバーの意見をもっとも反映できるやり方ではありますが、「挙手」となると、内容を十分に吟味できなかったり、周りの目が気になって本当に良いと思うアイデアに手を挙げられなかったり、少数意見には手を挙げづらくなってしまうことも有り得ます。
 ましてや、「ひとつだけ」選ぶとなると、迷いが生じたり、決断に時間がかかってしまって当然です。
 より納得感の高い会議にするために、“得点制”にします。出たアイデアを、ひとつひとつ良い点・悪い点・改善点の観点から各自が吟味し、最適だと思うアイデアから順に高い点数をつけていくのです。

各アイデアに得点をつける

 得点をつけていくには、細長い付箋紙を準備します。付箋紙には、名前と得点を記入します。(名前を一枚一枚書かなくて済むように、印鑑を用意しておくと便利です。)
 得点の付け方は、1点、3点、5点、7点、9点、11点、13点…と、点数に少し差をつけておきます。このほうが意見の優劣をはっきりつけることができるからです。
 たとえば、アイデアが10個ある場合は、10枚の得点用紙を用意します。3個ぐらいのアイデアの場合は、1点、5点、10点と点数の差を大きくしておくと最終決定が下しやすくなります。
 なお、「同点になってしまったときはどうするか」というのを投票前にあらかじめ決めておくことも必要です。「もし、同点になったら、『高得点の得票数が多い方』を1位にする」などと決めておけばよいでしょう。

得点の書いた付箋紙を各自貼っていく

 出されたアイデアと、その良い点・悪い点・改善点などを書いたシートを、床の上に置きます。そして、メンバー全員が上から全体を眺め、それぞれ得点の書いた付箋紙を貼っていきます。そして、進行係とメモ係で集計し、決定事項をまとめます。
 どのアイデアにも得点を入れていく仕組みなので、決定事項は“他人が決めたこと”ではなく“自分で決めたこと”という意識になります。また、自分が高得点をつけたものが選ばれなくても、それは今回たまたま優先順位が低かっただけなので、どのアイデアが選ばれても比較的納得感が高くなります。
 このようなやり方を会議で癖づけると、会議ではない場面でなにかを決定しなければならないときも、一人会議を行い、冷静に優先順位で考えて結論を出すことができるようになります。ゆえに、決断力がおのずと磨かれていくというわけです。
 
【事例after】
「え~そろそろ決定事項をまとめたいと思います。最初にお配りしていた付箋紙に、1点、3点、5点、7点、9点、11点、13点と記入し、署名をお願いします。こちらのアイデアの書いた紙を床に置きますので、みなさん得点を書いた紙をそれぞれのアイデアの横に貼っていってください。上位2つを決定事項とします。アイデアが同点になった場合は、高得点の得票数が多い方に決定します。」
 そう言って進行係の大原は、各アイデアと良い点・悪い点・改善点を書いた紙を床に並べ置いた。
 会議の参加メンバーは得点の書いた付箋紙を手に立ち上がり、冷静に上から眺め、それぞれ得点が書かれた付箋紙をアイデアの横に貼っていった。
 全員が貼り終わり、席に着いたところで、進行係の大原とメモ係の山口は集計を開始した。
「……発表します。一番得点の高かったものは、『応募者全員プレゼント』でした。二番目に高かったのは『公式Lineをスタートさせる』です。よろしいでしょうか?」
 参加者メンバー全員が、納得感の高い満足気な表情で頷いた。

 次回は、「プレゼンテーション力を向上させる」会議です。お楽しみに!

POINT
・参加者の“納得感”を大事にする工夫をしよう
・得点用紙(付箋紙)を用意して、優先順位をつけよう
・冷静に俯瞰して考えられる環境を作ろう

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プロフィール

株式会社CHEERFUL 代表取締役 沖本 るり子 氏

株式会社CHEERFUL 代表取締役 沖本 るり子 氏

「5分会議」を活用した人財育成家
「だらだら、イライラ、まとまらない」対立会議を2500時間の体験から、話の聴き方・まとめ方等が身につく人財育成ができる「5分会議」のツールを開発。
ちょっとした工夫で「できない」を「できる」に!「クセ」を「コツ」に!強み弱みではなく個性を活かす人と組織の成長を促すコンサルタントとして活動。「5分会議」はヤフーニュースでも掲載された。
著書:『出るのが楽しくなる会議の鉄則』(マガジンハウス)
『相手が”期待以上”に動いてくれる!リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘出版)他
ホームページ:株式会社CHEERFUL

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