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第4回  社員だってやる気をもちたい! 真のやる気の源泉にアクセスするメンタリングとは

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一生懸命指導しても社員のやる気がなくなってしまう……

一生懸命指導しても社員のやる気がなくなってしまう……

「わたしは一生懸命指導している。なぜ社員はやる気を出さないんだ。」
 仕事に情熱が感じられない。仕事や会社に無関心で淡々とした社員が多い。自ら仕事を創る社員少ない……。
 そんなとき、叱咤激励することもあるでしょうし、企業理念を共有することもあります。マネジメント強化で無駄や非効率性を無くす方向もあるでしょうし、給与や待遇や環境を改善したりもするでしょう。
 しかしあらゆる教育・改善はそもそも前提を間違えると、まったく効果を発揮しないどころか、害をもたらすことがあります。

 叱咤激励がパワハラと捉えられかえって社員のメンタルを追い詰めたり、企業理念の共有は無駄な時間と疎んじられたり、管理をすればするほど創造性がなくなり、給与待遇環境の改善が甘えを生む。
 一方、特別なことをしなくても、なぜか社員は会社が好きで、経営者や役職者に敬意をもち、みずからどんどん動く会社もあります。

 たとえ今、無関心・無情熱で働いているようにみえる社員も、新人の時はみなドキドキしながら、未来に期待を膨らませて社会に飛び込んできました。
 社員だって本当はいつでもやる気を持ちたい。あのドキドキのまま仕事をしたい。
 環境や社会状況が常に変化し文字通りひとりひとりの重みが増すこの時代、真のやる気の源泉にアクセスすることが、「ひと」の集合体たる会社で必要不可欠なのです。

マズローの欲求五段階ピラミッドは使い方で大きな効果

 あなたも一度は見たことがあるでしょう。
 マズローの欲求5段階ピラミッドです。ひとの欲求には5つの段階があり、ひとはより高次の欲求を求めていく、というアメリカのアブラハム・マズローが提唱したものです。
マズローの欲求五段階ピラミッドは使い方で大きな効果

 一番下は「生理的欲求」。食べたい、飲みたい、寝たいなどの基本的・本能的欲求です。
 二番目は、「安全欲求」。危険を避けたい、安心安全な暮らしをしたいという欲求です。
 三番目は、「社会的欲求」や「所属と愛の欲求」と呼ばれ、集団に属したり仲間を求めたりする欲求です。
 四番目は「尊厳欲求」や「承認欲求」と呼ばれ、他者から認められたい、敬意をもたれたいという欲求です。
 一番上の五番目は「自己実現欲求」であり、自分の能力を創造的に発揮し高めたいという欲求です。

 有名なピラミッドだけにその後様々な研究者により、5段階を6段階にしたり、欲求の中身が変わったり、解釈が異なったりしますし、もちろん批判もあります。
 しかし「はたらく現場」の視点でもういちど深く見直す意義があるモデルであることは間違いありません。なぜならば実践するにもわかりやすく、また大きな効果も期待されるからです。
 ポイントがあります。

・ひとには「低次の欲求」と「高次の欲求」があるということ。
・「低次の欲求」とは外から与えられるものであり、「高次の欲求」とは内から湧いてくるものであること。
・「低次の欲求」はある程度満たされると、それ以上モチベーションにならないこと。

 「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」は低次の欲求であり、「尊厳欲求」と「自己実現欲求」は高次の欲求とされます。

 「給料をやっているのに、やる気を出さないなんて」と言いたくなったり、「ほめてもダメ、叱ってもダメ」とジレンマに陥ったり、「未来を語っているのに誰もついてこない」と悩んだりしたら、一度まっさらな目でこの5段階を当てはめてみると意外な発見があります。この機会に一緒に応用してみましょう。
 応用する際の「指針」があります。それは、「低次の欲求」へのアクセスは、「低次の欲求」を満たす行動で返り、「高次の欲求」へのアクセスは「高次の欲求」を求めた行動で返ってくることです。この指針も念頭に置いてみてくださいね。

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