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メンタリングで人や組織の可能性を引き出す

第2回  ボトムアップで強くてしなやか会社を作る3つのポイント

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口には出せない人材のジレンマ

口には出せない人材のジレンマ

 こんな会話に出会いました。

「Aは積極的なんだけどなあ。でもBはぜんぜん自分から動いたりしないんだよ。どうにかならないかなあ。」

 そうそう自分のところもそうだ、と思われたかもしれません。
 口に出さずとも同じことを思っているひとは多い会話ですよね。

 Bさんのような社員はやきもきさせられます。
 BさんがAさんのようになってくれたら、仕事に対して積極的なAさんが2人いることになりますから、きっと会社の業績も上がるはずだと思うからです。

 社員を抱える経営者、役職者はひとと向き合うという大変で、大切な仕事。ときには「給料を渡しているのはこちらだぞ」と思ったとしても当然のことです。
 ところがそれを振りかざすほど社員はますます「業務が回る最低限 = 給料がもらえる範囲」として捉えてしまい、それ以上動かなくなってしまいます。
 かといって甘やかしても、緊張感がゆるみ、成長しようともせず、結局のところ会社の生産性は向上することもない。
 ひとの問題はジレンマだらけ。一筋縄ではいきません。

 「Bさんが、Aさんのようになってくれたら。」

 ボトムがアップすればするほど強い会社になることは間違いありません。
 それを実現するよい方法はあるのでしょうか?

 さまざまな方法が提案されています。
 たとえばAさんには有りBさんには無いスキル研修をBさんに受けさせて戦力化させる方法です。
 Bさんと個別面談をして、Bさんを励ます方法もあります。
 モデリング、という方法で、うまくいっているAさんのやり方を全員で学び、同じようにやってみるという方法もあります。

 ひとつひとつはどれも有効な方法です。実際にやって成果を上げる会社もある。
 しかしそこに「うまくいっている」会社と「やっぱりうまくいかない」会社の違いがあるのはなぜでしょう?
 その違いは、方法ではなく「3つのポイント」にありました。

第一ポイント~既存手法があてはまらないときにまずやること~

 わたしたちは普段、仕事が「できる社員」と「できない社員」を区別しています。
 Aさんのように積極的でみずからどんどん動く社員はもちろん「できるひと」。だから現場で重んじられ、次のリーダーを担ってもらいたいと期待します。
 一方、Bさんは「できないひと」。消極的であるため、現場では無難な範囲だけしかまかせることもできず、ずっとやきもきし続けます。

 何とも言えない、既存の解決手法のあてはまらない、もやもやした壁にぶち当たったとき、こういうときこそ「メンタリング」の出番です。なぜならばメンタリングは一手法ではなく、手法そのものを方向づける「あり方」だからです。

 メンタリングでは、まず目指す人材像を明確にすることが大切です。
 「どんな困難な状況や環境に左右されずそれを乗り越え、自分自身の最大限の力を発揮して、ビジョンに向かい、社会や会社に貢献する人材」
 これを「自立創造型相互支援人材」と呼びました。
 言い換えれば、「みずからやる気をだせる人材」です。

 とはいえ本人以外の外部から ―― それがたとえ経営者・役職者からであれ―― 無理やり人やその意識を変えることはできません。
「やる気は外から出させるものではない。自ら出すものである。」
 あくまでも本人が自分自身で成長したくなる。ここにフォーカスします。
 徹底的に本人の自発性、つまり「やる気」=「一生続く成長への欲求」にアクセスするのです。わたしたちは、本人がみずからやりたくなる「きかっけ」を与え続けます。

 1つめのポイント。
 それは「観る」視点です。

 メンタリングはひとを「会社人」ではなく「ひと」として観ます。
 そしてその「ひと」とは「無限の可能性をもって成長し続けるひと」であると観ます。
 目で「見る」ではなく、内側の目で観る。単に目に入ってくる姿に左右されず、「ひと」として観るとわたしたち自身がまず決めるということです。

 いま現時点の「できる」「できない」ではなく、つねに無限の可能性つねに成長途中であるひととして観て、外からは成長したくなるきっかけだけを与え続け、本人のやる気にアクセスするのです。

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