経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

デール・カーネギーが贈る成功の秘訣

第31回  名前忘れの常習犯から伝説的な名前覚えのチャンピオンへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 私たちはどうして名前を覚えるのが苦手なのでしょう。ネットワーキングの機会で誰かと出会っても、10秒後にはその人の名前を忘れてしまう。イベントで顔は見覚えがあるけれど、名前が思い出せない。何とか思い出せるヒントを求め、名札をちらっとでも見れないか首を伸ばしたり。自分が知っているはずの誰かを他の誰かに紹介しなければならないのに、どちらの名前も思い出せなくて非常に恥ずかしい思いをしたり。

 ビジネスでは、名前を覚えることは基本でなければならないはずなのに、この分野では誰もが深刻なスキル不足に苦しんでいるようです。この主な原因は、人の名前を覚えるのに効果的な方法がなく、いつも即興に頼っては失敗しているからです。余談ですが、誰かと挨拶するときはいつも自分の名前を先に伝えるようにすると良いでしょう。相手がこちらの名前を思い出せないという恥ずかしい状況に陥るのを回避できます。

 ここで、あなたを名前忘れの常習犯から伝説的な名前覚えのチャンピオンへと変貌させる、確実な方法をいくつか紹介します。

1. 耳を傾ける。
 単純なことに聞こえるかもしれませんが、私たちが名前を聞き取れないのは、実際、きちんと耳を傾けていないからです。賑やかな場所で、名前を覚えるという作業からあなたの注意力をそらすことがたくさんあるかもしれません。そのような状況で相手が名前を言う時は、頭の中で記憶機能と競合している他の活動をすべて停止し、名前を聞き取り、覚える作業だけに集中する必要があります。

2. 聞き取れない場合は、相手に繰り返してもらう。
 聞き取りづらい名前かもしれないし、相手が早口か、またはもぞもぞ話す人か、あるいはあなたの耳が遠くなっているせいかもしれません。理由は何であれ、聞き取れなかったら、名前をもう一度言ってもらうように頼みましょう。

 逆に、自分の名前を言う時も同じです。ボイス・メールのメッセージで、相手が早口すぎるか、不明瞭なために名前を聞き取れず、何度もメッセージを再生しなければならなかったという経験はありませんか?自分もゆっくり話し、名前をはっきり言うことを心がけるべきです。名前を言うときは焦ってはいけません(あなたのブランドなのですよ)。次の公式を試してみてください。「こんにちは(停止)。私の名前は(停止)グレッグ(停止)ストーリーです」。そして、名字の方を名前よりも強めに言うようにします。これで、多くの人があなたの名前をはっきりと聞き取れるようになるでしょう。

3. 印象。
 身体的な特徴(身長などの体格、顔色、ボディ・ランゲージ)を覚えるようにしましょう。相手の声を注意して聴くようにしましょう。特定の国や地域のアクセントや話し方など、際立った特徴がありますか?相手の目と髪の色を見ましょう。相手の人柄を「可視化」してみてください。この人は、活動的、控えめ、社交的それとも退屈そうな人ですか?その印象を名前と関連付けます(弾丸のようなダン、ぼーっとしたバリーなど)。

4. 名前を何度か暗唱し、頭の中に固定させる。
 「私は名前を覚えるのが得意。この人はボブ・スミス。ボブ・スミス。ボブ・スミス。この人はボブ・スミスと覚えた」などと、自分自身に言い聞かせてみてください。この反復が始めから名前を記憶に残すのです。

5. 会話中に相手の名前を何度か言う。
 「今日、このイベントにどうして参加しようと決めたのですか」と尋ねるかわりに、「ボブさんは今日、このイベントにどうして参加しようと決められたのですか」と、相手の名前を付けるだけです。でもやはり、逐一相手の名前を繰り返したのでは、うるさく名前ばかり繰り返す変人だと勘違いされかねないので、やり過ぎには気を付けましょう。自然でさりげなくするのが大切です。

6. 画像。
 カラフルで動きのある、デフォルメ的な画像を頭の中に焼き付けましょう。完全に妙であればあるほどなおのこと。デフォルメ的な画像を名前と関連付けることで、イメージが頭の中に記憶され、思い出しやすくなります。

ここに、思い出し方を思い出すのに役立つ簡単な2つの言葉を紹介しましょう。

「L.I.R.A」
 L - 見て聴く(Look and Listen)
 I - 印象(Impression)
 R - 反復(Repetition)
 A - 関連付け(Association)

「P.A.C.E」
P : 人(Person)- この人はどんな人か?
A : 行動(Action)- どんな行動と関連付けられるか?
C : 色(Color)- どの色と関連付けられるか?
E : デフォルメ(Exaggeration)- 関連付けられそうなデフォルメ的な要素はあるか?

 さぁ、ペースを緩め、名前を覚える時間を取り、頭にしっかりと焼き付け、あなた本来の姿である名前覚えのチャンピオンとなりましょう。

お気に入りに登録

プロフィール

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役  グレッグ・ストーリー博士<Br>(Dr. Greg Story)

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役 グレッグ・ストーリー博士
(Dr. Greg Story)

デール・カーネギーに参画するまで、インターナショナルな環境での人材育成研修を数多く経験してきた。まずアジアにあるAustrade社ではリージョナルトレーニングプログラムを企画し、このプログラムを拠点で実施展開するための社内インストラクターの養成も行い、そのためのプログラムも開発した。具体的には、ベトナム、台湾、香港、中国、韓国、そして日本で実施展開を行った。また新生銀行では、ジェネラル・マネージャーとして、新生ビジネススクール(新生銀行の社内ユニバーシティ)創設に尽力し、特に銀行のリテール部門における、製品知識や、セールス、マネジメント、リーダーシップそしてカスタマーサービスの研修に関する社内インストラクターの育成を行った。

デール・カーネギーのトレーナーとしてはデール・カーネギー・コース、アドバンスト・デール・カーネギー、セールス・アドバンテージ、リーダーシップ・トレーニング・フォー・マネージャーズ、ハイ・インパクト・プレゼンテーションの認定を取得しており、今まで貿易、金融、IT、リテール、官公庁、製造、教育等の産業にトレーニングを提供してきた。

デール・カーネギー・トレーニングは、企業が必要とする6つの分野にフォーカスしたカリキュラムを提供しています。
・チームメンバーエンゲージメント
・リーダーシップ開発
・プレゼンテーション
・プロセス改善とイノベーション
・セールス
・カスタマーサービス

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら