聴衆とアイ・コンタクトをとって関心を惹き、1人1人の目を約6秒間見つめ、侵入的になることなく、でも有意義なアイ・コンタクトとなるようにします。日本人の友人は「日本では、視線を合わせないようにすると教わるのだ」と言います。通常の会話ではそうかもしれませんが、聴衆の前に立ったら違う役割となるのです。私たちが言いたいことを聴衆に同意してもらう、メッセージに関心を寄せ続けてもらうようにするには、一歩踏み出さなければなりません。
ここが、6秒間のアイ・コンタクトがとてもうまく機能する場面なのです。聴衆がそれぞれ自分たちに直接話しかけられているのだと感じたら、彼らと私たちの間でエンゲージが確立されるため、彼らは私たちに惹きつけられるようになるのです。また、表情も忘れないでください!良い知らせであれば微笑みます。疑念を示唆するのであれば、いぶかしげな表情を浮かべてみましょう。情報が驚くような内容であれば、驚きの表情、悪い知らせであれば、残念そう、または心配そうな表情を見せましょう。表情が言葉に加える力の可能性は多大で、無表情、感情にまったく欠ける表情は大きな無駄です。日本人スピーカーは、メッセージの伝達手段としての表情を活用していないことが多く、この点で大いに向上できることでしょう。
適切に間を置くことも、私たちが今言ったことに対して聴衆を集中させるための素晴らしいテクニックです。私たちは、緊張するあまりに早口になり、いろいろな考えを駆け足でまとめて話してしまいがちです。これでは、重要なポイントが聴衆に一気に押しかかり、次から次へと変わり、これらのポイントを理解するのが難しくなってしまいます。さらに、私たち自身も、話し方が速くなりすぎたと気付いたら、間を取ることで、考えをまとめ直し、少し落ち着く時間を持つことができます。
言葉にパワーを加えるべく、ジェスチャーもいくつか採り入れましょう。でも、同じジェスチャーは15秒以内に留めてください。手のひらを活用し、手のひらが聴衆に見えるようにしましょう。背後に隠したり、まるで股間を守るかのように前で手を組んだり、あるいはポケットに手を突っ込んで隠したりしてはなりません。これは、私のオーストラリア人エグゼクティブ仲間たちの典型的な「逃げの手」です。彼らは、手をどうしたらよいかわからないので、単純にポケットに突っ込んでしまうのです。英語で典型的なことを「ステレオ・タイプ」と言いますが、両手ともポケットに突っ込んでいるオーストラリア人CEOたちはまさしく「ステレオ状態」で困っているわけです。ジェスチャーの位置が低すぎると聴衆には見えないので、頭から胸までをジェスチャー・ゾーンとしましょう。ジェスチャーは、シェイクスピアやギリシャ悲劇のようなものではなく、自然なものでなければなりません。演劇は俳優に任せ、自然に、「プロフェッショナル」な自分として振る舞いましょう。
スピーチの目的と対象を理解し、言いたいことを強調するために声、表情、手を調和させることができれば、聴衆の100%に対してあなたのメッセージを明確に浸透させることができます。さぁ、これで何をしなければならないか、明確ですね!
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