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ダイバーシティ経営の基本・課題・副作用

第11回  ダイバーシティ経営を加速させるスマートなIT活用術

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ダイバーシティ経営で生産性と効率性の向上・コスト削減を実現する

ダイバーシティ経営で生産性と効率性の向上・コスト削減を実現する

 多くの経営陣にとって悩みの種である「ダイバーシティ経営」ですが、この対応が進むと他の経営課題解決の突破口になることをご存じでしょうか?
 これまで述べてきたこと以外に、IT環境の多様化や新たな社会要請への適応の観点から、ダイバーシティ経営を加速させるIT活用術を見つめてみることにしましょう。

テレワークによる場所に縛られないIT環境(ワークプレイス・ダイバーシティ)

 働き方や働く場所の多様化として、テレワークや在宅勤務など、リアルタイムにネットにさえつながれば世界中のどこでもオフィス内にいるように仕事ができるリモートワークは、かなり以前から有益性が注目されてきました。
 加えて、クラウド・コンピューティングによって、場所を選ばず安く手軽に高度なIT環境が利用できるようになったため、インターネットごしに仕事をすることに対して、違和感や抵抗感がずいぶんとなくなってきました。
 これにより、ダイバーシティ経営の推進や生産性・効率性の向上、コスト削減といった経営課題解決の選択肢として、テレワーク・在宅勤務に取組みやすい状況が整ってきたといっても良いでしょう。
 既に、コールセンターはニアショア(地方都市など国内の離れた拠点でネットや電話回線を使って業務処理を進める形態)やオフショア(日本国内からかけた電話を海外コールセンター拠点につなぎ、安い人件費・賃料で業務処理する形態)が進んでいます。
 ネット環境などインフラが整っていれば可能なテレワークや在宅勤務は、遠隔地での業務遂行により賃料も人件費も安く抑えられることから、コスト削減に即効性があります。
 また、育児・介護・身体の障がいなどの事由から長時間自宅を離れられない方や、転勤に支障がある方も、サテライトオフィスや自宅で業務ができれば会社を辞めずに済み、会社側としても熟練した人財を手放して新たに採用や教育にコストをかけずに済むので、双方にメリットがあります。

実際にテレワーク・遠隔会議などをした企業のケース

 筆者が指導した長野県のある通信大手企業では、地理的要因から営業活動などの移動時間が長くかかり、そのために生じた長時間労働・残業・時短が改善されずに悩んでいました。
 そこで、その企業が販売しているクラウドシステムを使い、それまでわざわざ支社に戻ってこなしていた会議や営業日報をすべてネットやクラウドシステム上で済ませて直行直帰できるようにしました。
 すると、今までと同じ内容の業務処理を行いながら、平均しておよそ毎日2時間の時短になり、交通費も残業代も大幅に削減できました。そして、時間に余裕ができた分、社員はプライベートを充実させたり、平日でもゆっくり休むことができるようになったりして、結果、より集中して仕事に取り組むことができるようになりました。
 また、自社のITソリューションを実際に利用者として活用したことで、ユーザー目線でいろいろな改善点や上手な活用法も見つかり、製品の品質向上にもつながりました。同時に、そうした取り組みを成功事例として営業活動に利用できるようになったのも、うれしい副作用でした。

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