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ダイバーシティ経営の基本・課題・副作用

第10回  持続的発展のできる総合的に粘り強いしなやかな組織づくり

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当たり前と思っていることを「正しく疑う」眼をもつ

 ダイバーシティ経営で旧弊を改め、新たな取組みを行う上で重要なポイントは、固定観念や偏見にとらわれず、物事を「正しく疑う」ことです。これにより本質的な点を見つめ直すことができます。
 何か失敗したり、ハラスメントで問題が起こったりすると、どうしても猜疑心を持って物事を見てしまいがちです。
 確かに、同じ物事を「疑う」という2文字では、猜疑心も疑い方のひとつですが、「疑い方にも流儀がある」のです。ここで筆者が特に重要性を説いているのが懐疑心をベースにした対応です。
 猜疑心でのマネジメントでは、「私は正しい。相手や私以外のことが間違っているのではないか」と考えてしまい、固定観念はさらに強くなってしまいます。
 筆者の指導先で、上司の部下に対する厳しい接し方がパワハラ問題に発展したケースがありました。
 当の上司は自分こそが正しいと考え、部下に対して自分の信念に沿って「教育(エデュケーション)」しているつもりでした。しかし実際には、盲信的に従う部下を金型にはめるように「教化(インドクトリネーション:刷り込み・洗脳)」してしまい、その過剰な圧力は部下の個性を埋没させていました。
この一件に限らず、猜疑心は思い込みや偏見を増長させることも少なくありませんので、ダイバーシティ経営を進めて成熟した健全な企業の成長につなげていくには、「懐疑心」が欠かせません。
 懐疑心による物事の見つめ方は、「自分も相手もこのあり方・やり方で妥当なのかということを様々な角度から検証し続ける物事の疑い方」です。
 その観点には指導側の自らの考えや意見はそもそも妥当なのかという自省が含まれます。また、色々な角度から検証し続けるという点では、年齢や性別、境遇のほかに、社内外の視点、さらには国際常識の観点など、あらゆる面で多様化し適応していく姿勢が存在します。
 倫理学の世界で懐疑は手法である、と言われることもあるようですが、ダイバーシティ経営を進め、レジリエンスを高めた総合的に粘り強い持続的発展のできるしなやかな経営に向かっていく上で、懐疑心をもって社是・経営理念から各現場の業務実態や仕事の取り組み方などを、今一度、改めて見つめ直して多様化していくことが求められているのです。

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プロフィール

日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長 戸村 智憲 氏

日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長 戸村 智憲 氏

早大卒。米国MBA修了。米国博士後期課程(Ph.D)中退。国連勤務の国際公務員として、国連内部監査業務専門官・国連戦略立案専門官リーダー・国連主導の世界的CSR運動「国連グローバルコンパクト(UNGC)」広報業務などを担当。退官後、民間企業役員として人事総務統括や、経営行動科学学会理事、上場IT企業のJFEシステムズ(株)アドバイザー、JA長野中央会顧問などを歴任。日本の人気講師ランキング3位にランクイン(日経産業新聞しらべ)。息子の出産立会や1年間の育休も取得し育児・家事・仕事に取組む。NHK「クローズアップ現代」等のTV出演や連載・寄稿多数。著書30冊。経営指導・人材育成・著述業の3つの柱で一歩突っ込んだ指導で全国各地にて活動中。
ホームページ:日本マネジメント総合研究所合同会社

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