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ダイバーシティ経営の基本・課題・副作用

第7回  内部昇進者中心の「取締役会の多様化」に必要なポイント

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人事部・人事権・教育機能の行使がダイバーシティ経営の質を左右する

 取締役会の多様化において、健全化を促す役割は、必ずしも社長のみではありません。誰をどこに配属するか、適材適所を見極めて人事権を行使する役割を担う人事部門が、ダイバーシティ経営の質を左右します。評価基準や考課、査定、面接といった出世に関する点においても、人事部門の担当者や部門長は先入観や固定観念を排除し、公平であることが求められるのです。
 仮に人事部門が、新卒採用時の面接で不健全な対応をしていたり、新入社員研修で多様性よりも“使いやすい人材”の育成を優先したりすると、ダイバーシティ経営の根幹が揺らぐだけでなく、将来の取締役会メンバーや執行役員メンバーの多様化も実現しないでしょう。
 内部昇進の過程で、画一的な人材育成や、革新的なアイデアや社内で問題提起する者の排除は、ダイバーシティ&インクルージョンを著しく阻害するものに他なりません。
 ダイバーシティさえ進めれば欧米諸国のように労働生産性が高まり儲かるようになる、という幻想をあおる有名・無名の指導者・講師・コンサルタントはあまり述べようとしませんが、ダイバーシティ経営のスタートポイントは明確に人権擁護にあります。
 その人権擁護において特に重要なのは、継続的に役職員相互の多様性を理解し受講者自らの多様化も促す教育にあります。
 そのため、筆者は、ダイバーシティ施策や体制づくりも重要ではありますが、ダイバーシティ経営はつまるところ教育に尽きる、とさえ考えています。
 各社の課題に応じて、女性の役職員のロールモデルづくりやモチベーション向上、男性の役職員の意識変革などが、ダイバーシティ経営の教育で金科玉条のごとくもてはやされているような面がありますが、あくまでも、それらはダイバーシティ経営のごく一部をクローズアップしているものであり、ダイバーシティ経営そのものだと誤認させるような教育を行う講師・企業研修会社などが少なくないのは、非常に残念なことです。
 とかく聖域化しがちな人事部門に多様化のメスを入れることや、ダイバーシティ経営を進める役職員の教育をどう行うかについて見据える眼を持つことが、今の日本企業に特に求められていることではないかと筆者は思う次第です。

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プロフィール

日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長 戸村 智憲 氏

日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長 戸村 智憲 氏

早大卒。米国MBA修了。米国博士後期課程(Ph.D)中退。国連勤務の国際公務員として、国連内部監査業務専門官・国連戦略立案専門官リーダー・国連主導の世界的CSR運動「国連グローバルコンパクト(UNGC)」広報業務などを担当。退官後、民間企業役員として人事総務統括や、経営行動科学学会理事、上場IT企業のJFEシステムズ(株)アドバイザー、JA長野中央会顧問などを歴任。日本の人気講師ランキング3位にランクイン(日経産業新聞しらべ)。息子の出産立会や1年間の育休も取得し育児・家事・仕事に取組む。NHK「クローズアップ現代」等のTV出演や連載・寄稿多数。著書30冊。経営指導・人材育成・著述業の3つの柱で一歩突っ込んだ指導で全国各地にて活動中。
ホームページ:日本マネジメント総合研究所合同会社

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