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ダイバーシティ経営の基本・課題・副作用

第7回  内部昇進者中心の「取締役会の多様化」に必要なポイント

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日本企業のダイバーシティ経営が進まない一因は取締役会にある?

日本企業のダイバーシティ経営が進まない一因は取締役会にある?

 日本企業では従業員の出世レースのゴールを、社長や取締役と考えることが多いようです。
 また、本社の取締役以外に、株主から独任で選ばれる監査役や、子会社の役員に登用されるケースや、本来は業務執行とその業務執行の監視・取締りにあたる執行役員と取締役が兼務されたり、役員ポスト拡充のために執行役員として登用されたりするケースも少なくないようです。
 一昔前は、外国人が社長などの重要なポストに就任することはあまりありませんでしたが、近年、企業買収・合併などの増加から、大手企業では社長や副社長を海外から迎えるケースが珍しくなくなりました。
 ただ、役員に内部昇進者が多いと言われる日本では、依然として、ダイバーシティ経営のポイントの一つである取締役会のメンバーの多様化は、あまり進んでいるとは言えない状況です。
 取締役会メンバーの多様化を進めるには、採用の段階で将来のダイバーシティ経営を見据えた多様な人材を採用する必要があるでしょう。

安直な社外役員の登用がダイバーシティ経営を支える人材育成を阻害する

 読者の中には「大手企業では外国人や女性を社外役員として登用しているのだから取締役会メンバーの多様化は進んでいるではないか」とお思いになる方がいらっしゃるかもしれません。
 確かに、そうした企業の社外役員は一見すると多様性に富んでいるように見えます。しかし、知名度は高いが経営・企業統治・会計などに疎い元スポーツ選手、理論や知識は豊富でも実務に疎い大学教授、「とにかく女性であれば良いから」と選出された女性から構成される社外役員で「真の多様性」は実現するのでしょうか?
 筆者としては、社外からの登用について、自社のリスク情報格差解消策(例:iERM(統合的エンタープライズリスクマネジメント))や業務執行状況の情報共有が十分に行われ、取締役会で実効性ある議論ができるならば、大いに賛成です。
 しかしその実態は、先に挙げたような社外役員の面々はあくまで非常勤であり、内部昇進者の役員との間に大きな情報格差が生じている場合が多いのです。これでは実効性ある議論や討議、採決など望めません。
 また、安直な社外役員の招聘は、内部昇進者として役員のイスを期待し、企業に尽くしている「未来の役員候補」のモチベーション低下を招きかねません。

執行役員と取締役を戦略的に分けて登用できる状況づくり

 さて、内部昇進者中心の取締役会に話題を戻します。
 筆者は、内部昇進者のすべてが問題であるとは思いません。内部昇進者は、自社の企業風土や実務詳細だけでなく、社内の政治状況まで熟知しているからです。
 しかし、だからといって企業経営や業務の執行状況をチェックする立場として、適任であるとは必ずしも言い切れません。
 そこで、日本企業では曖昧になりがちですが、執行役員はそれぞれの実務領域の総責任者となり、取締役はその実務を司る方々の対応が健全かつ妥当ならしめるよう、オーケストラの指揮者のような役割を担えるようにしておく必要があると筆者は思っています。

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