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グローバル雇用…意外と知らないVISAのツボ

第3回  海外からの出向者編 Vol.3

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 前回は、出向者の方が取得する主だった就労ビザとして、企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)と技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)について紹介しました。
 今回は、同じ出向者の中でも、役員などの上級職位者や極めてハイスペックな人材の際に活用が考えられる就労ビザとして、経営・管理ビザ(在留資格「経営・管理」)と高度専門職ビザ(在留資格「高度専門職1号」)についてご紹介します。
 比較のため、適宜「【グローバル雇用…意外と知らないVISAのツボ】2.海外からの出向者編Vol.2」もご確認下さい。

経営・管理ビザ

 「企業内転勤ビザ」「技術・人文知識・国際業務ビザ」の役員・部門長バージョンと言えます。
 海外の親会社から、日本法人の代表取締役等の役員や部門長等の管理者として来日する場合に申請対象になる可能性があります。
 企業内転勤ビザや技術・人文知識・国際業務ビザと比べて、以下のメリットがあります。

【主なメリット】
・家事使用人(家政婦)を雇用できる
 配偶者の方が病気等により家事を行えない場合や帯同するお子さんが13歳未満の場合、一定の要件の下、外国籍の家事使用人(家政婦)を外国から呼び寄せることができます。
 日本人の家事使用人を雇用することや、既にビザ(在留資格)を持って在住している外国人の方を家事使用人として雇用することは、経営・管理ビザ以外の就労ビザを保有している方も可能ですが、海外からの家事使用人の呼び寄せは、経営・管理ビザや後述の高度専門職ビザ、外国籍で日本国内において弁護士や会計士等の業務を行う法律・会計ビザの保有者にしか認められていません。


 それでは、経営・管理ビザ取得の要件について、前回と同じく、【出向条件に関する要件】と【出向対象者に関する要件】の2つの視点から見ていきます。

【出向条件に関する要件】
1. 業務内容
日本法人の役員・部門長等として赴任して、事業の運営や管理業務を行うことが必要となります。実務上この要件が重要になります。

2. 出向中の報酬額
 日本人と同等以上の報酬額であることが必要となります。最低金額については法律上規定されておらず、入国管理局側も明確な基準を出していませんが、社内の他の役員の方の報酬と比較して遜色ないか否かが1つの目安となるかと思います。

3. 出向中の給与支払元
 企業内転勤ビザと同様になります。
 A. 出向先の日本法人が全額支払う
 B. 出向元の海外法人が全額支払う
 C. 出向先の日本法人と出向元の海外法人がそれぞれ支払う
 出向目的によっても、出向先・出向元の費用負担に対する考え方が異なると思いますが、いずれのケースでも対応できます。

 企業内転勤ビザとの違いとして、出向元の海外法人と出向先の日本法人との関係性や出向期間に関する制限も原則ありません。

【出向対象者に関する要件】
4. 学歴
 企業内転勤ビザと同様、学歴に関する要件はありません。

5. 職歴
 3年以上の事業運営・管理の職歴が必要となります。この要件は、企業内転勤ビザや技術・人文知識・国際業務ビザにはない要件です。日本法人での任務が重要なものであるため、それなりの実務経験を有することが必要とされるためです。
 ただし、大学院で経営や管理に関する科目を専攻した場合、その専攻期間もこの実務経験に含めることができます。
 例えば、MBA(経営学修士)を取得しており、2年間の経営・管理に関する専攻期間がある方の場合、事業経営・管理の実務経験が1年間あれば、合計3年間として計算されます。
なお、この実務経験は、出向元法人でのものである必要はありません。
企業内転勤ビザでは、要件の1つとして、日本法人への転勤前に出向元法人での在籍期間が1年以上必要となっていましたが、経営・管理ビザについては、出向元法人での在籍期間に関する要件はありません。
 この実務経験に関しては、これまでの職歴が事業経営・管理に関するものであると認められるか個別的な判断が必要となります。

 要件面は以上となりますが、以下の点に注意が必要となります。

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