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グローバル雇用…意外と知らないVISAのツボ

第1回  海外からの出向者編 Vol.1

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 日本企業のグローバル化が進むなか、外国人の雇用についても注目が集まっています。外国人雇用にも、新卒採用・中途採用・グループ企業からの出向など、様々な形がありますが、いずれの場合も、VISAの扱いに戸惑う企業が少なくありません。
 そこで、今回から全6回の連載を通して、外国人雇用にまつわるVISAの取得方法をご紹介します。


 さて、今回は海外にある親会社・子会社・関連会社から外国人従業員の方が日本法人に出張・出向するケースについてです。

 「海外の親会社から外国人従業員が弊社(日本法人)に来ることになったのですが、VISAを取得する必要はありますか?」というご質問をよく頂きます。
 日頃、海外からの従業員の受け入れ等の機会が少ない法人に限らず、海外から外国籍の方を受け入れる際には、多くの担当者が、「そもそもVISA取得が必要なのか?」「必要な場合、どのVISAを申請しなければならないのか?」という点で判断に迷うケースが多いようです。

 このようなときに確認するのが、①その外国人従業員の方の来日「目的」、②「期間」、③来日する方の「国籍」、④来日中の「報酬支払の有無」という4つのポイントです。
 この4つの回答次第で、そもそもVISA申請自体の要否や、申請する必要のあるVISA(在留資格)の種類が異なるため、重要なポイントとなります。

 外国籍の方が来日される場合、必ず何らかのVISA(正確には、「在留資格」と言います。日本に在留するための資格といった意味合いです)が必要です。
 このVISAは、日本側で入国管理局に事前に申請が必要となるものと、日本側での事前の申請が不要なものの2つに分けることができます。
 いわゆる就労ビザ(日本で働くことのできるビザ)は前者、短期商用ビザ(在留資格「短期滞在」)は後者となります。短期商用ビザは、いわゆる観光ビザと同じで、時間的にも手続き上も比較的簡単に取得することができます。
 そして、上で挙げた4つのポイントから、この短期商用ビザでの来日が可能であるかを判断することができるのです。

【①来日目的について】
 来日目的が会議や打合せへの参加・視察・市場調査等の場合、来日する際のVISAの種類は、短期商用VISAとなります。
 一方、実際に日本法人の仕事を手伝うようなケースでは、就労VISAの取得が必要です。

【②来日期間について】
 「海外出張と海外出向は、どこで線引きするのか?」というご質問を頂きます。
 出張であれば短期商用ビザ、出向であれば就労VISAといったイメージをお持ちの方が多いようです。
 概ねこのイメージ通りですが、VISAの観点からは、1回あたりの来日期間が90日以内かつ年間180日以内であれば、【①来日目的について】の要件をみたす場合、短期商用ビザでの来日が可能です。

【③来日する方の国籍について】
 【①来日目的について】と【②来日期間について】の要件をみたすと、短期商用VISAでの来日が可能です。
 短期商用VISAは、ご存じの方も多いと思いますが、国籍によっては申請手続きなしで来日時に日本の空港で取得できます。(参考までに、外務省ウェブサイトで、短期商用VISAの申請が免状されている国籍(VISA免除国)を確認できます。)
 VISA免除国以外の国籍の方の場合、来日前に現地の日本大使館・領事館で短期商用VISAの申請が必要です。大使館・領事館での申請から1~2週間で審査が完了するケースが多いですが、国によって時間を要することもありますので、来日予定が決まり次第、早目の準備開始が必要です。

【④来日中の報酬支払の有無について】
 【①来日目的について】と【②来日期間について】の要件をみたす場合でも、来日中日本法人から報酬(いわゆる給与)の支払がされる場合、短期商用VISAではなく就労VISAが必要と判断される可能性があります。これは、短期商用VISAが日本での労働に対する報酬を受けてはいけないVISAであるからです。
 一般的に、就労VISAよりも短期商用VISAの方が容易に取得できるため、この報酬の支払いにつきまして、留意が必要です。(【③来日する方の国籍について】でご紹介したように申請自体が必要ないケースもあります)
 「旅費、交通費、宿泊代、食事代も日本法人が支払うと報酬と判断されますか?」というご質問も頂きますが、常識的な金額の範囲内であればこれらの実費の支払いを日本法人がしても「報酬」とはみなされません。

 まとめると、以下のようなケースでは短期商用VISAでの来日が原則可能です。

【来日目的】会議や打合せへの参加、視察、市場調査等
【来日期間】1回当たり90日以内 ※年間通算180日以内
【報酬支払】日本法人から報酬(給与)は支払われない

 来日目的・期間・報酬について、上記の要件外の場合には短期商用VISAではなく、就労VISAの申請を検討することとなります。
 また、先ほどから「就労VISA」という言葉を便宜上使っていますが、就労VISAは日本法人での受入条件等によって細かく分かれており、適切な就労VISAを申請・取得する必要があります。

 次回、「海外からの出向者編 Vol.2」では、出向者に関する就労VISAについて、就労VISAの種類ごとに違いをお伝えします。

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プロフィール

行政書士大東法務事務所(Daito Immigration Attorney Office)代表 / 申請取次行政書士 大東 圭 氏

行政書士大東法務事務所(Daito Immigration Attorney Office)代表 / 申請取次行政書士 大東 圭 氏

2005年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。
外資系生命保険会社勤務を経て、VISA・外国人法務サービスに特化した行政書士大東法務事務所を開設。
主に外国人雇用・海外からの出向者受入をご検討の外資系法人・国内法人向けに、雇用・受入をなさる外国人の方の就労VISA申請代行・相談サービスを提供。
行政書士資格のほか、社会保険労務士資格・実用英語技能検定準1級を保有。
ホームページ:行政書士大東法務事務所

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