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NRIJ交渉ワンポイント

第3回  「取りつく島」もない交渉相手に対するアプローチ

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 当社のクライアント様から「取りつく島もない交渉相手に対して、どのようにしてアプローチしていけば良いのか」という相談が少なからずあります。
 そこで今回は、ビジネス心理学から「ピーク・テクニック」、「ザイアンスの第二法則」、「極小依頼」、「スリーパー効果」などを取り上げて、「取りつく島」もない相手に対する打開策を説明いたします。

ピーク・テクニック(乗り気でない相手に対して)

 まずは、面談はできたが、全く乗り気でない相手に対するアプローチ方法です。
広告業界で盛んに使われている「ピーク・テクニック(pique・technique)」という心理学の手法があります。これは、人・興味などを、刺激する・そそる・あおるという説得テクニックの一つです。
 相手に「何故?」とか「おや?」と思わせること、あるいは「ありえない」「考えられない」ということを投げかけることによって、相手の好奇心をかきたてるわけです。
 相手が最初から「全く無理」と拒絶してきた時「そうでしょうね。分かります。それは無理ですよね」と素直に肯定したとしたら、相手は「おや?」と思うのではないですか。
 ここでの1つ目のポイントは、まず、相手の発言を受け入れ、共感することです。そして、まだ言い足りないようであれば、思う存分発言してもらい、それらを肯定しながら傾聴することです。この時点で反論することはタブーです。
 2つ目のポイントは、相手が興味をそそるような交換条件を事前に用意し、「その代わり」と、相手のメリットになる何らかの「譲歩カード」を先に提示することです。
 例えば、相手が全く拒絶ではないと判断できた時に「無理は百も承知でお願いするのですが、その代わり○○については、当方でこうさせていただきますので、ぜひ、お力を貸していただきたい」と切り込みます。

ザイアンスの第二法則など(拒絶している相手に対して)

 次は、電話アポや飛び込みセールスなどで拒絶する相手に対するアプローチ方法です。
 その場合、すべての相手が見込み客になると思わないことです。見込み客に出会うため、多くの対象外の人を選り分けていると考えてください。
 つまり、無駄なセールス時間を費やさないため、自分は今、その選別作業をしているのだと思えば、拒絶が続いても落ち込みません。
 また、人は、会う回数が多くなればなるほど、相手に好意を持つものです。(心理学;ザイアンスの第二法則)。
 そして相手が、少しでも心の窓を開けてくれた時は、「ほんの少しの時間でいいですので……」と、相手に心理的負担を感じさせないように心掛けながらアプローチしてください(心理学;極小依頼)。
 それから何よりも大切なのは、自分の扱っている商品やサービスに対する愛着です。
 “儲ける”という字は、「信じる者」と書きます。自分が自分の商品(サービス)を信じられないのなら、人に勧めても、その良さや思いが相手に伝わるはずがありません。

「あなたは、自分の扱っている商品(サービス)を信じていますか?」
「この商品(サービス)は素晴らしいものだと、自信を持って言えますか?」

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