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国内で最も優先すべきリスクは「災害の発生」。海外と日本本社ではギャップがある結果に

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クライシス対応の成否を決めるのは「事前準備」や「外部専門家の有効活用」

続いて、過去にクライシスを経験した198社を対象に対して、発生時の対処における成功要因を聞いた。その結果、「トップのリーダーシップ、トップダウンで迅速に意思決定が行われた」が54%と最も多かった。次いで「クライシス発生に備えて、対処の仕組み化ができていた」、「情報収集・伝達ルートと収集情報の分析・判断のルールが整備されていた」がともに42.4%となった。

反対に、クライシス対応の失敗要因についても尋ねたところ、「事前の準備ができていなかった」が37.9%で最も多い回答となった。このことから、「クライシスに対処する基盤が整備されていること」、「リーダーの指導力が発揮された初動対応」が成功の鍵となることがわかる。また、失敗要因として「外部専門家を活用しなかった、または有効に活用できなかった」が19.7%と、前回から大幅に増加していることから、専門家などの外部人材を活用することの重要性も示される結果となった。

日本本社とアジア拠点ではリスク意識に隔たりがある結果に

さらに、「海外拠点で優先して着手が必要なリスク」について日本本社に聞いたところ、「法令遵守違反」が21.5%で最多となった。次いで「子会社に対するガバナンス不全」が19.4%、「製品、サービスの品質チェック体制の不備」が18.7%となった。

一方、日本企業のアジア拠点に対して「海外拠点におけるリスク」は何かを尋ねると、「市場における価格競争」が最も多く、34.6%という結果だった。続いて「法令遵守違反」が25.8%、「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」が24.8%となった。

日本本社は、価格競争や人材不足を海外拠点の上位リスクとは考えていないことから、海外拠点が抱えるリスクについての認識が、日本本社とアジア拠点との間で大きくずれていることがわかる。拠点別のリスクを正確に把握するためにはギャップを埋める必要があるようだ。
日本本社とアジア拠点ではリスク意識に隔たりがある結果に

アジア拠点の不正の5割以上は管理職が引き金に。内部統制の仕組み化が必要

最後に、アジア拠点での不正について調査したところ、46.6%の企業が「不正の顕在化、または懸念がある」と回答。2018年調査時(38.9%)から増加した結果となった。不正関連リスクに関する意識向上や、体制整備が進んだことにより「不正が見える化」した結果だといえる。

一方、実際に起きた不正の5割以上が「高い承認権限を持つ管理職以上によるもの」であったことから、内部統制・内部監査の実施が重要だと指摘できる。

不正が発生した部署については、「営業部」が47.6%で最多となった。続いて「購買部」が36.2%、「製造部」が25.6%となり、取引先との接触が多い部署で不正が頻発していることがわる。前回調査と比較して「営業部」における不正が顕著となった理由は、リスクとして挙がった「市場競争の激化」が関連すると考えられる。

「不正の内容」における内訳を見ると、「不正支出」が56.2%、「賄賂」が43.8%となった。また、「情報の不正利用、不正な報告」は25.9%と、前回の10.7%から急増している。重要な経営資源である「情報」の不正利用に関する内部統制の必要性が浮き彫りになったといえるだろう。

日本国内と海外拠点では想定されるリスクまったく異なることがわかった。海外に活路を求め多拠点を経営する企業においては、国内外でリスクに対する認識にギャップがあることをきちんと認識することが必要だ。そのうえで、リスクの適切な把握や不正防止のための内部統制をはかることがより一層求められるだろう。

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