東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

2020年5月、東京都はテレワーク導入率に関する緊急調査の結果を発表した。都内にある従業員30人以上の企業を調査対象とし実施したが、その結果から都内企業のテレワーク導入率が急増したことなどが明らかとなった。また、中小企業へのテレワーク導入支援策として、実施中の事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長も併せて発表した。

都内企業のテレワーク導入率は1ヵ月で2.6倍に

東京都では、2020年3月と同年4月の2回、テレワーク導入率の緊急調査を実施した。都内にある従業員30人以上の企業に「テレワークを導入しているか」を聞いたところ、3月の時点で24%だった導入率は、4月には62.7%へと2.6倍も増加していることがわかった。また4月の時点で、「今後テレワークの導入がある」と答えた企業が6.1%あることから、テレワークの導入率は今後さらに増えていくと予想できるだろう。
東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

新型コロナウイルス感染症拡大の防止対策として、テレワークをする社員が増加傾向

次に、テレワークを行っている社員がどのくらいいるのかを聞いた。2019年12月時点ではテレワークを実施している社員は、平均約2割だった。しかし、4月の調査では49.1%と約5割の社員が、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、テレワークをしていることがわかった。増加率は、約2.5倍だったという。
東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

テレワークの実施日数は、全勤務日数の約6割

続いて「テレワークの実施日数を調査」した。1ヵ月あたりの勤務日数である約20日のうち、テレワークを実施したのは、12月は1.2日、3月は4.2日、4月は12.2日であることがわかった。4月のテレワーク実施率は、約6割にまで及んでいる。また、12月と4月を比較すると、実施日数が約10倍に増加していることも示している。
東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

企業規模に比例したテレワーク導入率の高さ

テレワーク導入率を従業員規模別で見ると、企業規模が大きくなるにつれて、導入率も高くなっていることがわかった。従業員300人以上の大・中堅企業では、3月の時点で44.6%だったが、4月には79.4%になっており、既に約8割がテレワークの導入に至っている。また、従業員100人~299人の中小企業では25%から71.3%に、30人~99人の小規模企業は19%から54.3%と、それぞれ1ヵ月で2.8倍に増加した。多くの企業で、テレワークの導入が急速に進んでいることがわかる。

東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

テレワークの導入が業種を問わず拡大

テレワーク導入率を業種別に見たところ、情報通信業や金融・保険業などの「事務・営業職が中心となる業種」では、3月の時点で41.9%だったのが、4月には76.2%となったことがわかった。また、小売業、医療・福祉業などの「現場作業や対人サービスが中心となる業種」でも、3月が14.8%だったのが、4月には55%と、3.7倍増加している。これらの結果から、業種は関係なく、テレワークという働き方が拡大している状況であることが判明した。
東京都、テレワーク導入率の緊急調査結果と事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の募集期間延長を発表

テレワーク助成金の募集期間を2020年6月1日まで延長

東京都は、テレワーク助成金の募集期間を2020年6月1日(月)まで延長することも発表している。申請書類は、郵送にて締切日必着となっているが、都の予算を超えて申請が集まった場合などには、申請受付期間内でも受付を終了することもあるとしている。テレワーク助成金を申請したい企業としては、早めの対応が求められそうだ。

テレワークの導入率は1ヵ月で急速に高まっていることがわかったが、業務内容や企業規模などによっては、テレワークの実施が難しい企業もあるだろう。今回の新型コロナウイルス感染症以外でも、自然災害が起こった際などにテレワークを始めとする新しい働き方が必要になる可能性もある。さまざまなリスクを考慮しながら、多様な働き方を模索していくことが、企業には求められそうだ。