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【社長の年金】第5回 社長業を続けると年金がカットされる仕組みとは(60歳台前半編)

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社長業を営んでいる法人の代表者は、役員報酬の額などに応じて、老後の厚生年金が全額、受け取れないことがある。一体、それはどのような仕組みなのだろうか。


「在職老齢年金」調整のルールは3パターンある

厚生年金の制度から受け取る老後の年金を、老齢厚生年金という。この老齢厚生年金をもらえる対象者が、厚生年金に加入しながら働いている場合には、年金額が本来受け取れる金額よりも少なくなることがある。このような仕組みを「在職老齢年金」という。

原則として、法人の代表者は厚生年金への加入が義務付けられている。そのため、社長業を営んでいる代表取締役が老齢厚生年金を受け取れる年齢になっても、本来の年金額を受け取れないというケースは存外多い。

このような年金調整のルールは、社長自身の年齢が“60歳台前半(60歳以上65歳未満)の場合”、“60歳台後半(65歳以上70歳未満)の場合”、“70歳以上の場合”といった、3パターンに分けて考えることができる。

そこで、今回から3回にわたり、年齢パターンごとの「在職老齢年金」の仕組みについて考えてみたい。

60歳台前半の年金カットの基準額は「28万円」

では改めて今回は、法人の代表者が“60歳台前半(60歳以上65歳未満)の場合”について、年金のカット額を決めるための仕組みを紹介していこう。

60歳台前半の在職老齢年金の仕組みについて、ごく簡単に説明すると、「年金」、「役員報酬」、「役員賞与」のそれぞれについて、一定ルールに基づいて“1ヵ月分に相当する金額”を算出し、それらの和が「28万円」を超えると、超えた金額の半額が1ヵ月分の年金からカットされるというルールになっている。

(「年金」、「役員報酬」、「役員賞与」の“1ヵ月分に相当する金額”には詳細な定義があるが、本稿ではそれらの説明は割愛する)。

具体例を交えて説明しよう。仮に「年金」、「役員報酬」、「役員賞与」の“1ヵ月分に相当する金額”が、それぞれ次のとおりだとする。

(1)「年金」の“1ヵ月分に相当する金額”  … 10万円
(2)「役員報酬」の“1ヵ月分に相当する金額”… 20万円
(3)「役員賞与」の“1ヵ月分に相当する金額”… 10万円

上記(1)~(3)を足すと、10万円+20万円+10万円で40万円となり、年金カットの基準額である「28万円」を12万円オーバー(=40万円-28万円)することになる。

この金額の半額である6万円(=12万円÷2)が1ヵ月分の年金から差し引かれることになるので、1ヵ月当たりの受取額は10万円-6万円で4万円となる。

つまり、月々10万円を受け取れるはずの老齢厚生年金が、上記のような条件で社長業を続けていることにより、4万円しか受け取れないことになるのである。

「年金」の“1ヵ月分に相当する金額”が28万円を超える場合や、「役員報酬」と「役員賞与」の“1ヵ月分に相当する金額”の和が46万円を超える場合はやや計算が異なるものの、「年金」、「役員報酬」、「役員賞与」の金額によっては、年金が1円も受け取れないケースも発生することになる。

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