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【社長の年金】第4回 報酬が増えても“法人の経営者”の年金が増えないケースとは

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法人の経営者が受け取る老齢厚生年金について、『第2回 社長は“いくら”年金をもらうのか』(平成30年10月10日付)では、「加入期間の長さ」と「報酬額の多さ」の両方に比例して金額が決定されると説明した。原則は確かにその通りなのだが、厳密に言うと“報酬の増額”が“年金の増額”に結び付かないケースも存在する。それは一体、どのようなケースなのだろうか。

役員報酬のうち“62万円”を超える部分は年金額にならない

法人の経営者が受け取る老齢厚生年金は、原則として、勤めた期間が長いほど、また報酬額が多いほど、金額も多くなる仕組みである。そのため、役員報酬や役員賞与の額を引き上げれば、代表取締役の将来の年金も増えると思いがちである。しかしながら、事はそう単純ではない。

実は、年金額の計算に使用される月額報酬には、“62万円”という上限額が定められている。つまり、経営者に支給される月額の役員報酬は、仮に“62万円”を超える額を支給したとしても、年金額を決定する上では「“62万円”の報酬が支給された」として計算されることになる。

従って、役員報酬について“62万円”を超えて増額しても、それにより将来の年金額が増えることはない。つまり、月額の役員報酬のうち“62万円”を超える部分については、年金の増額には全く貢献しないのである。

役員賞与についても同様のことが言える。経営者が受け取る役員賞与の場合にも、年金額の計算に使用される賞与額には“150万円”という上限額が定められている。

従って、役員賞与について“150万円”を超えて増額しても、それにより将来の年金額が増えることはない。つまり、役員賞与のうち“150万円”を超える部分については、年金の増額には全く貢献しないのである。

“62万円”を超える部分を年金額に反映させるには

ただし、62万円を超える役員報酬や150万円を超える役員賞与を、年金の金額に反映させる方法が、ないわけではない。その方法とは、賞与の支給回数を増やすことだ。

たとえば、月額の役員報酬が毎月70万円、役員賞与が1回150万円を、年に2回支給されている役員がいるとする。この場合、役員報酬70万円のうち62万円を超える部分である8万円については、将来の年金額には反映しないことになる。そうすると実に、年間報酬のうちの96万円(=8万円×12ヵ月)が将来の年金額には結び付かない計算になる。

しかしながら、この場合に月額の役員報酬を62万円まで下げ、今のままでは年金額に反映しない96万円を“3回目の賞与”として支給することができれば、会社から支給される全ての報酬が、将来の年金額に結び付くことになる。報酬と賞与の全てが、年金額に結び付く金額の範囲内で支給されるからである。

とは言え、“3回目の賞与”を支給する場合には、大きな注意ポイントがある。それは、他の役員賞与が支給されない月に支払う必要がある、ということだ。なぜなら、同月内に支給された賞与が複数ある場合、合算して“150万円”までしか年金額に反映しないというルールがあるためである。

このケースでは役員賞与の支給額は1回150万円としたが、この場合、他の役員賞与が支給される月に“3回目の賞与”を支払ってしまうと、意図に反して、年金の増額には全く結び付かない結果となる。

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