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助成金の落とし穴(下)

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変わりつつある助成金

昨今、助成金の内容が変わりつつある。ヒトに係る助成金や、生産性向上が要となっているからだ。筆者自身も、従来存在していた助成金と毛色がかなり異なってきているように感じている。

労働条件通知書(雇用契約書)の交付にはじまり、関係法令に対応した就業規則の存在、法定三帳簿(労働者名簿・タイムカード等・給与台帳)はもちろん、サービス残業がないか、残業代算出のための計算式は適正かどうかまでを詳らかにすることが求められるようになった。これら書類と実態が相互に連携し、有機的に機能する労務管理体制がとれていなければ、助成金は受給できない仕組みになっている。

したがって、これらの労務管理体制が整っていない会社は、受給する以前の問題であり、助成金を考慮する前に、自社の労務管理体制を堅固にすることを考えるべきである。また、ここを疎かにし、実態に即さない書類を作成すると、前述した不正受給に繋がるので、十分に注意されたい。

おわりに

誤解のないよう断りを入れておくと、助成金を受給すべきではないとは述べていない。むしろ、自社の進むべき方向性とうまく合致しそうな助成金制度が存在すれば、積極的に活用すべきだ。

筆者の主張したい点は、助成金はあくまでも“手段”であり、“目的”ではない、ということにある。

換言すれば、会社組織や、そこで働く社員の雇用環境をより良いものとするという“目的”が第一にあって、これら取り組みのなかで、“手段”として助成金の利用を考えるということである。

あるいは、助成金制度を知ったことをきっかけに、自社の社員がよりよく働ける環境整備に着手するのもありだと思う。しかしながら、不純な動機で、単に助成金を貰うことだけが“目的”であるなら、絶対に申請すべきではない。

第一、冷静に考えてみて欲しい。受け取る助成金額以上に、受給要件を満たすための制度運用や人件費がかかるのである。助成金で会社が潤うことはない。よって助成金が受けられなかったとしても、本来、自社で取り組むべき内容だと言えるものでなければならないし、その覚悟がなければならない。

甘い話には罠がある。助成金をあてにしたビジネスに巻き込まれ、自身の邪な動機も相まって、大切な会社を台無しにすることがないよう、助成金に対し、冷静な経営判断を促したい。


SRC・総合労務センター、株式会社エンブレス
特定社会保険労務士 佐藤正欣(まさよし)

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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