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助成金の落とし穴(中)

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落とし穴<3>

他方、めでたく助成金を受給できたとしても、例えば助成金を受給するために創設した制度等は安易に変更できない。助成金は基本的に一度受給したら終わりだが、制度の運用は続けていかなければならない。

自社を良くするために、少し背伸びする程度であればいいが、制度を維持・運用していくことが過剰な負担とならないかどうか、助成金申請に踏み切る前に十分に検討してもらいたい点である。

自社の置かれている現状と、制度導入との間に大きな乖離があるのであれば、ひとまず助成金は諦めて、その隔たりを一つひとつ着実に埋めることが先決だ。そのほうが、将来的に会社のために繋がる。お金に目がくらんでこの点を疎かにすると、数年後に会社の負担だけが残り、助成金を利用したことを後悔する羽目になる。数百万円の助成金を受給した代償が大きかったことに気づいた時は、手遅れである。これが三つ目の助成金の落とし穴だ。

落とし穴<4>

助成金申請の主体はあくまでも会社(=使用者)であることを忘れてはならない。たとえ自らはまったく関与せず、外部委託したコンサルタント等のアドバイスにより、言われるがままにした申請も、不正受給に該当すれば、その責めはすべて経営者が負うことになる。

知らなかったとか、〇〇という行為が不正行為に当たると思わなかったという抗弁は通用しない。この点は、厚生労働省のホームページ上でも、再三の注意喚起がされている。よって先でも触れたとおり、よく理解できていない書類に押印してはいけないのだ。

さらに怖いのは、助成金申請の有無に関わらず、不正に受け取ろうとした事実が何らかの形で発覚すれば、不正受給に該当することだ。安易に甘い口車に乗せられていると、会社や自分自身が国から詐欺罪で刑事告発される危険性がある。これが四つ目の落とし穴だ。

守秘義務の観点から子細に述べることができないため、おおよその概要に止めたが、上述の落とし穴<1>~<3>は、実際に筆者のところへ相談として持ち込まれた事例である。読者が助成金を食い物にした業者の手口に巻き込まれぬよう、注意喚起の意味から可能な範囲で紹介することとした。

業者の側だけでなく、助成金を受給することについて、安易に考えている経営者が一定数いることも確かである。それゆえ、甘い言葉で彼らの術中に陥ってしまう。まずは受給のために新設する制度が、自社に本当に必要で、馴染む制度か否か、助成金ありきではなく、冷静に考えたいものである。


SRC・総合労務センター、株式会社エンブレス
特定社会保険労務士 佐藤正欣(まさよし)

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