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表に現れない労務リスクの怖さ(上)

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人口減少社会に突入し、働き手が年々減少している。この一つの事象として企業の募集採用に目を転じてみると、従来は、会社が求職者を選んでいたが、現在は、求職者が会社を選ぶ時代である、と言われるようになった。魅力ある人材を自社に呼び込むためには、魅力ある企業であることが必須だ。企業の魅力を底上げするための一つの打ち手としては、コンプライアンスの徹底が挙げられる。そこで今回は、労務コンプライアンスの観点から、2部構成にわけて、労務リスクの怖さについて考えてみたい。

労務リスクとは?

端的に言えば、労務リスクには、未払い賃金、サービス残業、長時間労働にはじまり、昨今何かと問題となっているハラスメント問題等が該当する。また、有期契約社員に係る通算雇用契約期間(通算5年を超えた時に労働者側に発生する無期転換権)もこの中に含まれてくるだろう。

これらの諸問題は、労務問題として立ちはだかるまでは、表に出てくることがない。ここが財務会計分野と決定的に異なる点だ。

会計は、1年に1回必ず決算書が完成する。これによって、借入金の残高はどの程度あるのか、資本よりも負債の方が膨れていないか、自社の売上高・利益の推移は伸びているのか否か、等々を把握することができる。その都度、会社の数字上の経営状態を把握できる訳だ。したがって、財務管理上の起こりそうな諸問題は善後策を考え、事前の対処が可能である。

では、人事・労務分野における会計でいうところの決算書はというと、ないのである。だから、労務リスクは視覚化しにくいということに繋がる。

労務リスクの放置は…

視覚化しにくいが故に、労務リスクをそのまま放置していたらどうなるだろう。

昨今、企業規模を問わず、様々な場面でコンプライアンスが重要視されている。労務分野におけるコンプライアンスも同様だ。また様々な労働関連分野の法律が整備されており、働く側も自分の身を守るべく、この辺りの情報について、正しいか間違っているかは別にして、よく知っている。社会全体で知識の成熟化がみられている。

したがって、経営者が労務リスクを放置し続ければ、労働者が然るべき行政機関に申告をしたり、司法の場に救済を求めたりということに繋がりかねない。また、たくさんの社員が辞めていくことに繋がるかもしれない。冒頭で触れたように、全国的に働き手が減少している現代にあっては、労務リスクの放置は、事業継続を困難にするところにまで発展する危険性をはらんでいる。

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