経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

サイボウズ青野氏ほか登壇 「新しい働き方経営者シンポジウム 働き方を雇用から変える」講演録

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

これからの人材育成 社員が切磋琢磨する仕組みと場を作る

日比谷 自分が成長できる環境は、自分で作るのが当たり前です。私はITベンチャーの支援、マーケティング、コミュニケーションの仕事をしていますが、いずれもトレンドの変化が激しく、特にITは、常にキャッチアップしていかないとついていけなくなります。ですから慣れずに苦労を伴う仕事も含めて、なるべく新しく幅広い仕事をするよう心がけています。それが当たり前だと思ってきたので、企業に勤めているからといって自分で成長要素を作ろうとしないというのは考えにくいことです。

冨山 社外にインプットを求めるよりも、社内の権力者に従うことに注力して「クソサラリーマン」として歩む者もいます。50代の私の同期の生き残りの4分の3はこのタイプといっていいでしょう。経営のプロフェッショナルが本当にいません。

北野 弊社では、自分のカット技術を言語化して他のスタイリストに指導できる人材を高く評価しています。QBハウスは指名制をとっていませんが、これは仕事が「人」につくことを防ぐためです。従来の理美容業界とは正反対ですが、全員が均一な技術でカットできるよう研修を実施しています。この方法をとったことで、指導役のスタイリストは他人を指導する中で技術や仕事の本質について理解を深め、そして他人の成長をもって自信をつけ、さらに人を育てたくなる好循環が生まれます。また、壁にぶつかった人や、40〜50代でなかなか変われない人も入社されてきますが、それぞれの課題に応じて、対応する人事責任者を替えるなど、個別対応を大切にしています。普通の会社で言うならば人事部長が3人いるイメージですね。あえてタイプの違う人をそろえているため、多様なスタッフとしっかりと個別に向き合うことができるのです。

冨山 日本は世界の中でも特に人材教育にコストをかけません。アメリカではユニバーサルなスキルセットに対する投資を企業が行っています。また、経営の仕事も明確なジョブであり、ジェネラリストというジョブ・ディスクリプション(職務記述書)は存在しないのが世界の常識です。日本企業で働いていても海外勤務になれば現地のジョブ型雇用に従うことになりますが、日本の従業員はジョブ・ディスクリプションが曖昧で、欧米とのローテーションは不可能ということになります。ジョブ型雇用に転換せずどのようにやっているのか、聞いてみたいくらいですよ。

青野 人を育てること自体に限界を感じますね。変わり続ける会社を作るには、社員が互いに教え合う場づくりが大事で、教える立場になれば、それは評価にも反映させます。弊社では、業務と直接関係ないことや、オープンソース化して社員個人の著作権にすることも認めています。社員には好奇心のまま動いてもらったほうが、結果として組織の知識吸収力が上がるのです。

冨山 日本の会社は、社員に自由な成長の場を認める場合、不測の事態に備えて先に制度を作ろうとします。しかし事故は必ず起きるもの。その都度対応しながらルールを作っていくべきでしょう。
副業解禁を成長の追い風にする秘訣は

副業解禁を成長の追い風にする秘訣は

日比谷 最近、大企業からベンチャーやNPOなどに人材を紹介する副業・兼業支援サービスが注目されていますが、一部では「モラトリアム副業」「やらされ副業」となりミスマッチが生じ、受け入れ先にとってはありがた迷惑になるという話も聞きます。

冨山 大企業の中で副業・兼業を解禁すると、まずは周りの空気を読む人が大半でしょう。そして先に始めた社員の成功例を見て、自分もそろそろだと動き始めます。

青野 副業OKの弊社は、ファーストペンギンを社内広報でスターにして、トップからの副業を応援するメッセージを発信しました。これで次の社員が飛び込みやすくなります。今は副業をしたくて弊社を選ぶ社員が大勢います。一方、副業を禁止する企業は社員が次々と副業を始めることに懸念を抱くのでしょうが、社員に完全に辞められるより、5~6割の力であっても働いてもらえたほうがいいはずです。

日比谷 社員が副業中に何かトラブルを起こしたり、ケガをして本業で働けなくなったりした場合はどうしますか?

青野 それよりも一番怖いのは、副業が禁止されているのに社員がこっそり動いていて、表に出た時にはすでに大ごとになっているケースです。問題は隠すとかえって大きくなります。早めにオープンにして試行錯誤を繰り返し、それでも問題が大きくなるなら撤退すればいいと思っています。

参加者からの質問

◆弊社は創業約90年で、従業員は40代以上が6割を占めます。日本式ジョブ型への移行は、若い企業や従業員が多い企業のほうがスムーズではないでしょうか?

冨山 うちの会社は老舗のバス会社を傘下に収めるバス会社を経営していますが、多くのバス会社が経営不振に陥る大きな原因はメンバーシップ型雇用です。これまで漫然とした基準の採用・年功序列が行われ、運転手は褒められたことも怒られたれたこともありませんでした。そこで弊社では社員のパフォーマンスの分ける化・見える化と、評価・フィードバックを行い、それに基づき給料を支払うようにしたところ、社員のモチベーションが上がり、離職率が下がりました。貴社のような状況でも、雇用の転換をしない理由にはならないと思いますよ。


◆ジョブ型で同じ人が同じ仕事をずっと続けると、変化に対応できなかったり、ローパフォーマーだけが残ったりするのではないでしょうか?

冨山 逆に、何ができるのかわからない人ばかりいるメンバーシップ型のほうが、変化への適応力がありません。日本の携帯電話がiPhoneに構図を変えられたのが良い例です。むしろジョブ型に移行してモジュラー化したほうが変化対応に強いのです。これが、日・米・欧で競争力にはっきり差がついている理由です。


◆大きな改革を断行できる経営者とできない経営者の違いはどこにあるのでしょうか?できない経営者はどうすればできるようになりますか?

冨山 できない人はできるようにはなりません。ですから、できる人と交代するしかありません。

お気に入りに登録

関連ニュース

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら