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サイボウズ青野氏ほか登壇 「新しい働き方経営者シンポジウム 働き方を雇用から変える」講演録

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続いて、「新しい働き方経営者会議」メンバーによるパネルディスカッションが行われた。

【パネリスト】
冨山 和彦 氏:株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO、新しい働き方経営者会議 座長
青野 慶久 氏 :サイボウズ株式会社 代表取締役社長、新しい働き方経営者会議 座長代理
北野 泰男 氏:キュービーネット株式会社 代表取締役社長
日比谷 尚武 氏: Sansan名刺総研 所長/一般社団法人at Will Work理事
ジョブ型雇用が企業の生産性・競争力を上げる

ジョブ型雇用が企業の生産性・競争力を上げる

冨山 生産性、競争力を高める際に経営者に必要な視点は、持続的に儲かることをやり、儲からないことをやめることです。メンバーシップ型雇用に基づく日本企業の経営は、国内工場での生産にこだわりましたが、人を減らし、総労働時間が増加したことで、国内の生産性と競争力、賃金をどんどん低下させてしまいました。メンバーシップ型は、百害あって一利なし、と言えるでしょう。

青野 創業時はメンバーシップ型の経営を行っていたサイボウズがジョブ型に切り替えた目的は、人材確保でした。年功序列では新卒に破格の初任給を出すグーグルやマイクロソフトに負けてしまいます。また我々の業界では引き抜きが激しく、離職率が一時28%まで高まってしまったというのもあります。ジョブ型への移行期は社内に激震が走り、業績停滞期も重なりました。しかし、社員がこれを給料大幅アップの機会だと捉えたためモチベーションは下がらず、住宅ローンなど個別の事情に対応しながらも方針はぶれさせませんでした。その結果、移行後の業績は右肩上がり。100人100通りの多様な働き方の実現や副業を認めたことも成功の秘訣と言えるかも知れません。

北野 「社員のジョブを限定すると仕事が回らなくなる」と懸念する声もあります。しかしQBハウスでは事業戦略としてカットにメニューを絞り込んだ上で、カットというジョブに専念したい、ジョブ型で働きたいという人だけが集まっているので、ジョブを限定したから仕事が回らないという不都合は起こっていません。そもそも理美容業界は、スタイリストがカットを許されるまでの道のりが長く、洗髪、パーマ、カラーといった技術を習得した先にカット技術の習得があり、そこまでたどり着いてもデビューして指名制度に入れば今度は給料が完全歩合制に移行されるケースが多く、年齢を重ねる中で徐々に指名客が減っていき、生活が厳しくなって開業の道を選ぶしかなくなるという、業界がかかえる課題がありました。そこに初めて指名制度を採らずにカットにジョブを絞り込む働き方を提案したのが、我々QBハウス。業界の働き方を改革することにやりがいを感じています。

日比谷 私はこれまでIT業界に身を置き、腕一本で働いてきた感覚が強いです。しかしこの働き方は誰にでもできることではありません。今後、個人が会社という枠を越えて“むき出し”で経済活動に参入していく機会が増えるわけですが、そのための「筋トレ」はどこで行われるべきなのか。日本式ジョブ型で、企業は本当に個人のキャリア形成に役立つ教育ができるのか、リソースを割けるのか、という点は大きな課題でしょう。

モチベーションの低下も評価に反映する

冨山 日本式ジョブ型は、競争力を高める一方で雇用の安定性を損なうのではないか、という意見があります。しかし、そもそも現在の日本の雇用はすでに安定的とは言えません。なぜなら、日本の大企業の人員整理は希望退職の体裁をとっているので人選に厳格な根拠がなく、結局、同調圧力で人が減らせてしまう。組合のない中小企業では事実上解雇は容易です。日本ほど人員整理が簡単な先進国はありません。

青野 降給降格が行われると、降格された社員のモチベーションが下がったり、チームワークが乱れたりすることを懸念する声も聞かれますが、ジョブ型の弊社では、社員のモチベーション低下も評価に反映します。例えば「優秀な新人が入ってきてポジションを奪われたからモチベーションが下がった」という社員がいたとして、その社員のモチベーション維持のために4番バッターをやらせ続けることは、競争力を下げてしまいます。チームの目標にコミットする社員であれば、優秀な新人を喜んで受け入れるはずです。経営者はそのようなチーム作りから逃げてはいけません。

北野 我々は最初は高い給料を設定することで人を集めましたが、人の入れ替わりが非常に激しく、サービスの質がなかなか安定しない時期が続きました。退職率が5割の時もありました。そこで、人は集まったのと同じ理由で去っていくことがわかり、給料だけで人を集めることは逆によくないと考え、「会社がどういう人を集めたいか」をもっと具体的に発信し続けることで、集まってほしい人が集まり始め、それにつれて退職率が年々改善されていきました。

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