経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

IoT市場拡大~人手不足、過疎化など社会課題を背景に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下、JEITA)は、CPS(Cyber Physical System)/IoT(Internet of Things)の利活用分野別の世界市場調査の結果を2017年12月19日に公表した。JEITAは2000年の発足以来、高度な情報活用によって様々な社会課題の解決を図り、結果として社会全体の最適化がもたらされる「超スマート社会の実現(Society 5.0)」を推進している。今回の調査結果は、その要ともなりうるCPS/IoTの利活用分野別の世界需要額と中長期展望を定量的に推計したものだ。

本調査によると、世界的視野から見ても、CPS/IoTの市場規模は拡大の一途をたどっており、2016年に世界で194.0兆円、日本で11.1兆円だった需要額が、2030年には約2倍へ成長することが見込まれ、世界で404.4兆円、日本で19.7兆円と推計されている。その背景として挙げられるのが、様々な社会課題に対する要請の増加や、ネットワークにつながる機器とソリューションサービスの拡大だ。これにより各種機器のIoT化率は2030年には8割を超えるとされる。利活用分野別に見ると、2030年に向けて年平均の成長率が著しいと予想されるのは、最も高い伸び率の「農業(20.2%)」に続いて、「医療・介護(10.9%)」、「流通・物流(10.4%)」であった。

日本市場に限定して見てみると、人にまつわる社会的課題が多く、少子高齢化や地方の過疎化、就労人口減少による人手不足から、「医療・介護」と「流通・物流」といった利活用分野での成長が著しく、2030年までに需要額が「医療・介護」で1.3兆円、「流通・物流」で2.4兆円となる見通しだ。生産性の向上や社会の安全・安心の強化が見込めるCPS/IoTの活用は、日本社会の慢性的な人手不足と高齢化の解決策として期待が集まる。

実際にCPSやIoTの活用事例は年を追うごとに増加しており、例えば身近な住環境などにも導入されてきている。株式会社アキュラホームの展開する「MIRAI ZEH-NEO(ミライ ゼッチ-ネオ)は、AIとIoTによる最新かつ最適な住環境を実現することをコンセプトとした注文住宅だ。太陽光発電により、暮らしで使用する電気エネルギーが実質ゼロである住宅の「ZEH」と、生活の利便性と安全性をさらに高めるAIとIoTを掛け合わせ、快適な暮らしをサポートしている。

また、住環境へのIoT活用の事例は賃貸住宅にも見られる。株式会社Robot Homeは賃貸住宅をIoT化する「Apartman kit(アパートメントキット)」を提供しており、入居者の多様なライフスタイルの実現しながら、オーナー側においても「空室状況」、「内見状況」の把握、空室時の「セキュリティ対策」などを可能とした。
さらに、今後大きな成長が見込めるとされる農業分野においては、ベジタリア株式会社が提供する「FieldServer(フィールドサーバ)」などが挙げられる。このサービスは、遠隔地からでもスマートフォンやタブレットなどで圃場の静止画を確認できる上、保存した生育環境データから、収穫時期の見極めや病害虫の発生予測なども可能。また、土壌環境を測定することで農薬・肥料の過不足を把握できるため、経費削減にも一役買っている。

こうしたCPS/IoTの活用は、少子高齢化、人手不足といった現在の社会背景ゆえに、あらゆる分野において成長が期待されており、今後も飛躍的に拡大していくだろう。私たちは、働き方や暮らし方を大きく変えることを求められる転換期にいると言えるのではないだろうか。

お気に入りに登録

プロフィール

 経営プロ編集部

経営プロ編集部

経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

関連ニュース

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら