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減収続くも利益率は向上 富士通・田中社長の改革は本物か

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高い専門性を生かしたコ・オペレーションで成長

 では、富士通はコア事業であるテクノロジーソリューションで、いかに成長していくか。ここで田中社長が強調するのが「コ・クリエーション」だ。

 コ・クリエーションとは、富士通がICTサービスを提供するという従来の関係に加えて、顧客と共に新しいビジネスモデルを創造すること。従来のシステムインテグレーションは、顧客が提示する要件を基にICTベンダーが情報システムを構築し、サービスを提供している。これに対してコ・クリエーションでは、顧客の情報収集や問題発見の段階から、富士通のシステムエンジニアが顧客にかかわっていく。顧客と共に世の中の動向を分析することから始め、そこで得られた知識や課題を基にビジネスのアイデアや解決法を創出し、サービスのプロトタイプを構築・試行する。さらに、その結果から軌道修正を繰り返し行い、サービスを共同で完成させていく。

 それを実現するためには、システムエンジニアが幅広く深い専門的な知見を有することや、先端技術のための共同研究や外部との連携が重要となる。富士通としては、リソースの専門性を高める取り組みを強化。昨年のSE子会社の統合はその一環だが、業種業務に対する専門性を高めるほか、従業員のスキル転換を進める。

 また、世の中のデジタル化の進展に伴い、富士通の顧客層も変わってきている。富士通は毎年5月にプライベートショー「富士通フォーラム」を開催しているが、今年は従来の顧客である企業のICT担当者よりも、事業担当者の来場が目立ったという。各事業部門でICTを導入し、自らの製品やサービス、トータルな競争力を高める機運が高まっている。その意味では、あらゆる業種が富士通の顧客となり得る。田中社長は、こうしたニーズをとらえ、コ・クリエーションにより、市場をさらに開拓できると考えている。

 富士通自体が田中社長の下、大きな転換を果たそうとしているが、同時にマーケットも大きく変わりつつある。その変化は、今のところは田中社長の改革にとって追い風と言える。しかも、田中社長も語るように改革はまだ2合目、3合目で、手を打ち切ったわけではなく、まだまだ奥の手がありそうだ。

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