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大塚家具、ロッテ…… 骨肉の内紛はなぜ起こる? 

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下剋上で弟がトップになったロッテ

 大塚家具や星野リゾートが親子の対立なら、ロッテは兄弟間の争いだ。ロッテは弟が兄を追いやる下剋上でグループのトップに立った。

 ロッテは1948年、重光武雄氏が日本で創業した菓子メーカーだが、その後、創業者の出身地である韓国に投資し、百貨店、ホテル、高層ビルなどを所有する一大財閥となった。

 その後ロッテは、日本側のトップを長男の重光宏之氏(当時はロッテホールディングス副会長)、韓国側は弟の重光昭夫氏(会長)が統括し、グループ全体を武雄氏が統括するというすみ分けになっていた。ところが2014年12月、宏之氏がロッテHDをはじめグループ企業の取締役を次々に解任され、代わって昭夫氏が日本の代表を兼務するようになった。弟による下剋上だった。

 武雄氏は日本と韓国を定期的に見ていたが、高齢だということもあり、東日本大震災を機に韓国に定住、その後、昭夫氏の腹心、ロッテHDの佃孝之社長が定期的に人事など日本の状況を報告していた。

 「14年後半から年末にかけて佃さんが父に虚偽や著しく誇張した説明をしていたのです。そのため父は私の解任に同意することになったのです。12月にロッテHDから取締役の辞任を求められ、そして26日には取締役会で副会長の解職を決議。グループ会社計26社の取締役も解任されました」(重光宏之氏)

 その後、宏之氏は武雄会長と面談し、誤解を解くことに成功。武雄会長とともに日本に乗り込んだ。しかし武雄氏と現経営陣との話し合いが成立せず、15年7月28日には、判断力と記憶力が低下しているとして、武雄氏は昭夫氏ら現経営陣によってロッテHDの代表権を解かれ、名誉会長に棚上げされてしまう。

 こうして決着がついたかに見えたロッテのお家騒動だが、武雄氏と宏之氏が反撃に出る。日韓両国で昭夫氏側陣営を次々に提訴。さらに韓国ロッテでさまざまな疑惑が発覚したために、一族をはじめ22人が起訴され、6人が逮捕された。この中には、武雄氏、宏之氏、昭夫氏の3人も含まれている。裁判の行方はどうなるか。宏之氏と昭夫氏の勝敗はそれによって大きく左右される。

堤清二・義明の兄弟対立の真相

 兄弟の相克で思い出されるのが、セゾングループの代表だった堤清二、西武グループ総帥だった堤義明兄弟。犬猿の仲の2人の対立も相続に端を発している。

 西武グループは当初、長男の堤清二氏が父・康次郎氏の後を継ぐことが決まっていたが、清二氏はそれを断った。父に対する反発と自分の力だけで勝負したいという思いからだった。事実、康次郎氏の死去後に行われた一族の相続会議でも清二氏は「西武グループを継がない」ことを明言。義明氏の後見人にまわった。それは生前康次郎氏と交わした約束でもあった。

 ただ清二氏が西武百貨店を相続したのは贖罪の思いからだったのではないだろうか。父の命とはいえ、清二氏は西武百貨店のロサンゼルス進出に失敗、巨額の借金を抱えてしまい、清二氏が相続しなければ倒産してしまう状態にあった。しかも西武百貨店の借金を返済するためには百貨店の事業だけではやっていけない。そこで新しい事業に進出した。

 しかしその後、ホテル事業に進出したことで、義明氏との確執が再燃する。清二氏にしてみれば社員がやりたいと始めたことだったが、義明氏はそうは取らなかった。

 「義明さんの中では西武グループは鉄道、不動産、ホテル、セゾングループは流通というすみ分けになっていましたから自分たちのテリトリーに侵入されたような気持ちだったと思います」(コクドの元幹部)

 13年に清二氏が亡くなるまで、2人の関係は冷え切ったままだった。

 対照的にガリバーインターナショナル(現IDOM)の創業者、羽鳥兼市氏は長男の羽鳥由宇介氏と一歳下の次男の貴夫氏の2人に同時に社長を任せるという奇手で成功した。これは2人の兄弟からの申し出だ。

 「『なぜ2人で社長をやりたいんだ』と聞いて見ると、『今までは社長が1人というのが常識でした。しかしこれからは普通の企業以上のスピードでガリバーを成長させたい。それには兄弟2人で力を合わせ取り組むのがベストじゃないかと考えたのです。だから2人でやってみたかった』と大変意欲的でした」(羽鳥会長)

 今では性格の違う2人を起用したことが企業を成長させる大きな原動力になっているという。

 いずれにせよ、同族企業の要は当主。当主が死や老いで力を失い、タガが外れるために内紛が起きる。だからこそ、目の黒いうちに後継者を育て、周囲に納得させることが重要だ。それがなくては悲劇が繰り返される。

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