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勤務間インターバル制度導入の機運と導入にあたっての問題点

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 長時間労働の改善に向けて「勤務間インターバル制度」を導入する企業が増えている。
 時間外労働を含む、1日の勤務終了から翌日の始業までに一定時間のインターバル(間隔)を設けることで、従業員の休息時間を確保するこの制度。導入企業の事例や行政における支援とその課題はどういったものがあるのだろうか。

勤務間インターバル制度とは?その導入事例

 インターバル制度については、EU(欧州連合)が1990年代初めから実施しており、退勤から翌日始業の間を最低でも11時間確保することが義務づけられている。一方、日本ではこれまで導入されてこなかったが、長時間労働の是正が経営上の大きな課題となっている今、同制度を導入しようという動きが進んでいる。

 KDDIでは長時間労働の抑制やワークライフマネジメント等の意識向上を目的に、2015年7月に導入。安全衛生管理規程で11時間、就業規則で8時間という2段階のインターバルを設定し、抵触した社員には個別指導や産業医面談を設ける。業務ピーク時にも対応し、必要があれば業務変更や人事異動なども行い、社員の健康を守る制度設計となっている。

 そのほか、JTB首都圏は2015年4月にインターバル制度を導入。その結果、2015年度の月平均残業時間を10時間未満まで減少させた。労働組合は今後、インターバルを11時間に広げる要求も視野に入れているという。また、ユニチャームは2017年1月より社員約1,500人に対して8時間以上のインターバルを義務づけた。同時に午後10時以降の残業を原則禁じて、深夜勤務の削減に努めている。休息が不足している社員に対しては、上司が個別に業務の改善を促す。

勤務間インターバル制度導入のための国の支援と課題

 日本政府は2016年6月に閣議決議された「ニッポン一億総活躍プラン」において、働き方改革の1つである勤務間インターバル制度の導入を推進していく考えを明らかにしている。

 厚生労働省は2017年度より中小企業を対象とした「勤務間インターバル導入コース」を職場意識改善助成金に新設し、導入費用の一部を助成することで導入の促進を図る取り組みを開始した。助成金の対象となるのは、制度導入に伴う就業規則作成・変更費用、研修費用、労務管理機器・ソフトなどの導入・更新費用など。助成金の上限は50万円で、助成率は費用の4分の3となっている。

 こうした行政の後押しはあるものの、中小企業を含めどこまで浸透していくかは不透明だ。
 前述した通り、勤務間インターバル制度の導入により休息時間を確保、労働者の健康を守ることができ、長時間労働是正の効果も期待できる。一方、翌日の出勤時間を遅らせることができる仕組み上、残業を助長しかねないという指摘もあり、ノー残業デーなど他制度と組み合わせる必要がある。

 また、インターバルが取りにくい24時間営業の飲食店やスーパー等、不規則労働が常態化している業界や企業などもあるため、これらにどのように対応していくかが今後の課題といえるだろう。

 少しずつではあるが、日本の社会にも浸透しつつある勤務間インターバル制度。大きなメリットがある反面、解決しなければならない課題も残っている。しかし、政府の後押しがある今、制度導入の機運を迎えているのかもしれない。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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