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信頼の失墜と人間力の劣化

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 皆さんは「自分が部下の信頼を失っていないか」について振り返ってみたことがあるだろうか。あるいは、部下の「信頼を失わないために」、日々の業務の中で心掛けていることはあるだろうか。

「信頼を得るための条件」は「信頼を失わないための条件」ではない

 先日、大手生命保険会社が実施した「新入社員が選ぶ理想の上司」のアンケート結果が発表され、理想の上司の第1位として男性ではお笑いタレントが、女性ではアナウンサーが選ばれた。そのアンケートでは、理想の上司の条件として「親しみやすい」「実力がある」「知性的」などが高い支持を得ていたようである。理想の上司の条件として支持を得ている項目は、見方を変えれば上司が部下から「信頼を得るための条件」といえるかもしれない。

 たとえば、高い業績を上げる実力がある上司であれば、きっと部下にとっては信頼できる上司であり、理想的な上司なのであろう。知性的で深い専門知識を持ったリーダーもまたメンバーから信頼されやすく、理想的なリーダーと捉えられるのかもしれない。

 しかしながら、高い業績を上げていない上司が部下から信頼されないかというと、必ずしもそうとは限らないのではないだろうか。同様に、深い専門知識を持たないリーダーが他のメンバーから信頼されないリーダーかといえば、必ずしもそうとはいえないものである。

 つまり、リーダーにとっては「部下の信頼を得るための条件」と「部下の信頼を失わないための条件」とは、必ずしも一致しない。従って、部下に信頼されるリーダーになるためには、単に「部下の信頼を得るための条件」に気を配るだけではなく「部下の信頼を失わないための条件」にも気を配ることが必要になってくる。

「人としての基礎的な資質」の低下が部下の信頼を損ねる

 それでは、リーダーはどのようなときに部下の信頼を失ってしまうのだろうか。部下の信頼を失ってしまう典型的なケースとしては、たとえば次のようなケースが挙げられる。

・部下の悪口を言う
・部下に嘘をつく
・自分の間違いを認めない
・言っていることと行っていることが一致していない
・自分のミスは部下の責任にし、部下の成功は自分の功績にする
・トラブル対応やクレーム対応を部下に押し付ける

 以上はいずれも「人としての基礎的な資質」にかかわる問題であり、“人間力のレベル”とでも呼べるような内容である。つまり、リーダーがメンバーの信頼を失うときというのは、「高い業績を上げられない」「高度な専門知識を持ち合わせない」など、リーダーのビジネススキルが高度なレベルに達していない事実が必ずしも原因になるわけではない。「人としての倫理的な行動がとれない」など、「基礎的な資質」が低いという事実こそが信頼失墜の原因になる傾向にある。つまり、「人間力の低さ」が信頼の失墜を招くわけである。

 部下の信頼を失ってしまう典型的なケースのリストを見て、皆さんは「リーダーたるものがこんなことをするわけはないだろう」と少なからず思ったのではないだろうか。だが今一度、一つひとつの項目について自身の日々の立ち振る舞いを注意深く振り返ってほしい。本当に「こんなことをするわけはない」と自信を持って言い切れるだろうか。誰しも多少は思い当たるような事実があるのではないだろうか。

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