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米リフォーム業界に旋風を巻き起こす「Houzz」と「Porch」

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Porchの特徴は近所物件のリフォーム履歴が閲覧できること

 Houzzが理想のデザイン探しからスタートして業者に辿りつくというイメージなのに対して、2013年9月にシアトルを拠点としてスタートしたPorchは、マッチングとリフォーム物件の履歴に力点をおいた、より実用的なリフォーム情報サイトだ。その特徴は全米1500万の住宅関連の専門家と9000万件のリフォーム事例が地図上で検索できることだ。検索の仕方は簡単で、ボックスにリフォームのタイプと住所を入力すると、近隣のマップが現れる。例えば、マサチューセッツ州ボストンのブライトンという町に住んでいるのであれば、“Brighton Boston, MA”と入力すると、マップ上に近隣のプロフェッショナルが黄色い人型のマークで、リフォーム物件がエメラルド色の家のマークで表示されるのだ。家のマークの中には「$200K(20万ドル)」のように、かかったコストも表示されている。マークをクリックすると、業者なら会社名、ライセンス、手がける仕事の種類、経歴、最近のプロジェクト事例と平均価格、近隣でその専門家に依頼した人たちの評価とレビューを見ることができる。但し、今のところ検索できる都市は限られており、人口の少ない地域での情報は収集しきれていないようだ。

 Porchの提供する情報で日本人が最も驚くのは、不動産価格や近所のリフォーム履歴を提供していることだ。例えば、自分の家がある通りの名前を入力すると、その通りにある家の平均価格、過去10年に何パーセントが売却されたか、スクエアフィートあたりの家の平均価格、同じくスクエアフィートあたりの土地の価格などを調べることができるのだ。もちろん、通りの名前でなく、単に住所を入力しても同じような情報を収集できる。なぜこれが可能なのかというと、アメリカにはMLS(Multiple Listing Services)という地域ごとのサイトがあり、そこに全米の不動産情報は1件残らず登録することが義務付けられているからだ。MLSはライセンスを持つ不動産業者なら誰でも閲覧できる。そこに売買の歴史や売却額、各オーナーがいくらでその物件を取得したのか、オーナーが他界した場合にはその事実、近所の物件がいくらで売られているのかまで写真付きで掲載されているので、不動産仲介業者が物件情報の囲い込みをするなどということは起こりえないし、事故物件と知らずに購入してしまうなどということもない。オーナーが死亡した理由を聞かれたら、答える義務があるからだ。

大手ホームセンターが新興のPorchと提携して話題に

 Porchは2014年1月にホームセンター大手のLowe'sと提携して話題となった。その内容はLowe'sの社員がホームセンターに来店した顧客にPorchを利用して地元の最適な業者を紹介するというものだ。注目を集めたのは、全米に1,707店舗を展開するフォーチュン500の大企業が起業したばかりのPorchと提携したからだ。Porchの創業者兼CEOのマット・エンリッチマン氏によれば、Lowe'sがPorchと手を組んだのは、Lowe'sの顧客が毎日のように店員にどの業者に依頼したらいいか質問してくるが、「このカーペットを敷くのはどの業者に頼めばいいか」といった質問をされても、その地域でよく知られた業者を知っているだけで、商品ごとにどの地域のどの業者の評判がいいのかまで把握することは困難だったからだと言う。

 Porchの起業のきっかけもHouzzと同様、創業者エリッチマン氏の体験から生まれたものだ。エリッチマン氏はシアトルに家を購入し、それをリフォームしよういろいろなウェブサイトを検索したのだが、近くに住む顧客のレビューがなかったり、参考になる事例はあっても業者の紹介がなかったりして、どのサイトも満足できるものではなかった。仕方なく、近所の人を訪ね歩き、大変なストレスを抱えてしまったと言う。そこで、もともと起業家であった彼は、リフォーム事例や業者の情報や評価などの膨大な情報を整理・統合し、ニーズに合わせて利用できるウェブサイトを立ち上げようと決意。複数の投資家から6億2500万ドルもの資金を集めたのだと言う。エリッチマン氏は2014年に“USA TODAY Entrepreneur of the Year”にも選ばれている。

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