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停滞する日本のネットスーパーと急成長する米国の食材買い物代行サービス「インスタカート」

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労働者の処遇や競争激化など懸念材料も

今のところ順風満帆に思えるインスタカートだが、懸念要素もある。一つは労働者の処遇の問題だ。同社の買い物代行を請け負う契約労働者は現在約7000人。今年6月22日、同社はボストンやシカゴなど一部の都市で買い物代行を請け負う契約労働者をパートタイム従業員として雇用することを発表した。パートタイム従業員は社会保障、医療保障、失業保険を受けられるメリットがあるが、会社側はコストがかさみ、それをサービスに上乗せする必要があれば、そうなれば、競合との争いで不利になる。インスタカートに限らず、フリーランスを活用したいわゆる「シェアリングエコノミー」のビジネスモデルが増えていけば、派遣以上に守られていない不安定な労働者を大量に生み出すことになりかねない。実際、アメリカでは複数のタクシー会社やショッピング代行サービスに登録し、それで生計を立てている人も出始めている。

 もう一つの懸念材料は同様のサービスを提供する「グーグル・ショッピング・エクスプレス」「アマゾン・フレッシュ」などの大手をはじめ、フレッシュ・ダイレクト、ピーポッドといった地方のデリバリーサービスとの競争に直面していることだ。決して安くないサービスなので、現在のビジネスモデルでは高所得者層のみが対象となる。ビジネスを拡大するには利用料金を下げる必要があるが、そのためには1時間25ドル支払っているパーソナルショッパーの時給を下げる必要があるかもしれない。だが、時給が下がればサービスのクオリティも下がる。利益をあげつつどう利用者を増やしていくのかが、これからの課題だろう。

 インスタカートはアポルバ・メタ(Apoorva Mehta)、ブランドン・レオナルド(Brandon Leonardo )、マックス・ムーレン(Max Mullen)によって創業された。CEOのアポルバ・メタ(Apoorva Mehta)はカナダ出身の28歳。カナダで最大規模の理工系学部を有するウォータールー大学を卒業後、2008年から2010年の間、アマゾンでエンジニアとして勤務。その後、起業養成と起業家に出身するVCのYコンビネータから出資を受けた。今年、フォーブスが様々な分野で世界を変えるような活躍をする30歳未満の人材を特集した「30 Under 30(30歳未満の30人)」に「フード&ワイン」分野で選出された。

【経営プロ編集部 ライター:島崎由貴子】

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