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ヨーロッパの難民・移民受け入れ問題と日本のグローバル化

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ヨーロッパが難民の受け入れ問題で大きく揺れている。シリアなどから大量の難民が流入し、EU各国の思惑の違いもあって極めて深刻な状況を生んでいることは周知のとおりだ。
日本企業にとってグローバル化は言うまでもなく喫緊(きっきん)の課題である。しかし、グローバル化はきれいごとだけではすまない。こうした難民・移民受け入れで日本がどういう姿勢を示すかは、ビジネスにも大きくかかわってくる問題である。

難民受け入れは人道的問題であり、社会・経済的問題でもある

内戦が続くシリアなどからヨーロッパに流入する大量の難民は地中海経由だけでも46万人を超え、この状況は第二次大戦後最大の数に達している。これまでは人道的見地から難民を受け入れてきた国々も、あまりの急増に対処しきれなくなっている。財政を圧迫する、治安が悪くなる、テロの不安、失業者が増えるなど、国民からの反発も強まっている。

ハンガリーは一気に増大した難民の流入を阻止するために国境を封鎖した。「シリアなど紛争地からの難民は基本的に受け入れる」と発言したメルケル首相のドイツは難民受け入れに寛容だったが、限界があるとして各国での受け入れ分担を訴えている。

欧州連合(EU)は9月22日、難民12万人の受け入れを各国で分担することを賛成多数で決定した。しかしこれに東欧諸国が反発しており、すんなりとはいかない状況だ。
歴史も文化も違う28もの国々がこの難題で一つにまとまることは並大抵のことではない。まさに人の移動の自由、人権尊重といったEUの理念が今試されている。

こうした中、アメリカは、来年以降の難民受け入れ枠を少なくとも5000人拡大し、年間7万5000人とする方向で調整に入ったという(9月9日 ロイター報道)。

難民受け入れが1年でたった11人の日本

一方、日本は難民受け入れについて極めて慎重な姿勢をこれまで取ってきた。昨年の日本の難民認定数が約5000人の申請者に対しわずか11人だったという。ロイター通信は、「欧州は難民に扉を開いたが、日本は扉をきつく締めた」と日本を非難した。国連は、資金援助だけではなく人道支援として難民を受け入れてほしいと日本を含めた富裕国に要請している。

難民と移民はイコールではない。国連のサイトによると、難民とは「紛争や迫害のために自国を逃れることを余儀なくされた人々」で、移民とは「自国を離れる人々」のことで、より広い意味を指し難民を含んでいる。難民受け入れがきわめて少ないことは先に書いたとおりだが、移民受け入れも決して多いとは言えない。日本はグローバル人材を高度人材(留学生、研究者・技術者・経営者等)の受け入れと、人手不足の建設領域などの分野や外国人研修生の受入れ制度拡充で一時的に増やそうとしているが、移民受け入れとしては慎重論が少なくなく、及び腰の姿勢は変わらないように見える。

話を少し変えよう。いま日本では安保関連法案の問題でもちきりだが、こと国際的な問題については「お金は出すが、人は出さない」という批判を浴びることが多い。
安保問題については、唯一の被爆国であり戦争を否定する憲法を持つ国家としての国内視点の議論はもちろん重要だが、一方で世界では戦争が過去の話ではなく現在進行形で進んでおり、日本の平和が何によって成り立っているか、平和の負荷分担をどのようにするかという、国外視点の議論も重要だろう。

難民・移民受け入れ問題についても同様だ。これまで日本では国内視点ばかりが強かったといえる。しかし、国際的な平和の負荷分担という意味で、日本がどのような役割を果たすべきか考えなければならない。


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