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IoTにおける技術公開と規格共通化の流れ

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今年1月、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では「Internet of Things (IoT)」関連の製品やサービスが会場を埋め尽くした。DC Japanの調査では、2020年にはIoTの市場規模は世界で365兆円になると予想されている。新興国の家電メーカーにシェアを奪われてきた日本の家電メーカーが復活できるか否かは、IoTビジネスとの関わり方によって決まるといっても過言ではない。しかしそのビジネスモデルは、従来の家電製品とは大きく異なる。

IoTの特徴は、様々な機器をインターネットに接続することで、異なるサービス提供者同士のデータが相互利用されることだ。例えば、接続機能を持つスマートな農業トラクターは、気象データシステム、灌漑システム、播種最適化システムなどとつながることで、農作業の最適化が図れる。また、他の農家のスマート機器とつながれば、農家同士での連携も可能だ。メーカー側も個々のユーザから大量の情報を集め、ビッグデータを活用したビジネスモデルを想定している。

IoTとは“I”のシステムを提供するソフトウェア系の企業と、“T”のモノを提供するハードウェア側の企業とが連携することなのだ。IoTビジネスでは、デバイスの普及台数が多いほど、異なるサービス提供者とつながれるし、大量のデータが収集できる。そのため、既存の家電製品のように特許を取得して自社技術を守ろうとするのではなく、他のメーカーにも技術を公開して、同規格の仲間を増やしていこうとする傾向にある。

例えば、2014年には電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズが、同社が保有する全ての特許を開放することを発表した。その狙いは、テスラのEV車向けパーツや、ナビゲーション、自動運転などのシステム開発に取り組むパートナー企業を増やすことにあると見られている。北米パナソニックも今年3月、IoT関連の特許を無償公開して、新興デバイスメーカーとの提携や支援をしていく方針を発表した。

IoTのデバイス同士が繋がっていくには、技術の規格を共通化していく必要がある。現時点では、まだ統一ルールが定まっていないが、近年、下記のように共通のプラットフォームを開発するためのコミュニティーを作る業界団体が次々と立ちあがっている。主なものは「AllSeen Alliance」「Internet of Things Consortium(IIC)」「Open Interconnect Consortium(OIC)」「Thread」の4団体だ。

発起企業のクアルコムやインテルは世界的なチップメーカー、グーグルはソフトウェアを含むインターネットサービス関連企業、IBMもソフトウェアとコンサルティング&SIが8割を占める企業となり、純粋にモノを扱う企業はGEくらいだ。発起企業は自分の強味とする分野を中心に市場を拡げたいので、各々アプローチが異なる。そのため、サムスンのように複数のコンソーシアムに参加するところもある。

サムスンの尹富根社長はCESで「5年以内にすべての製品がネットにつながる」と発表した。2020年は目前に迫っている。異文化のIoT市場に日本の家電メーカーはどこまで食い込んでいけるのだろうか。

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