
岡山市表町で筆や墨を販売する「石井弘文堂」から始まり、その後OA機器やオフィス家具、ICT商材へと販売を広げてきた株式会社 石井事務機センターは、2018年9月、「株式会社 WORK SMILE LABO」に社名変更した。
今年で創業107年目の老舗企業である同社が現在最も注力しているのがテレワーク。総務省のテレワーク先駆者100選企業に選ばれるなど、中小企業のテレワークの導入事例企業として全国的に認知されている。
しかしながら実は、わずか数年前の2011年夏には、運転資金が尽き、追加融資も受けられず、倒産寸前まで追い込まれていた。
ここで、会社の歴史とともに、V時回復までの経緯を順を追って紹介する。
【1911年の創業から2011年まで】
戦前は従業員数100名を超す大所帯であったが、岡山空襲によって人・店舗・商品を失い、さらには戦後の混乱に乗じた不法占拠により、土地も失う。その上、戦後のハイパーインフレで、蓄えた資産の貨幣価値までなくなってしまう。
そのため終戦直後は、闇市で商品を仕入れ、リアカーで販売するという、ゼロからの再出発となった。
その後、高度経済成長を背景に、事務用品の需要が高まり業績は拡大。しかしやがて、徐々に官庁の需要も減り始め、かつ複合機の保守メンテナンス料金の下落が始まる。
2000年頃には、アスクルなどの通信販売が市場に登場。その結果、事務用品の売上と利益率が下がるとともに、主力商材であったコピー機も成熟商材になり、熾烈な価格競争の波に飲み込まれた。
その後も官公庁の仕事は減り続け、業績は下落の一途をたどる。2008年のリーマンショックによって取引先も激減し、同業他社との価格競争の中、営業面での奮闘をもってしても業績回復の見通しは立たなかった。
2009年11月、とうとう経営が回らず廃業するか否か、切迫した状況になってしまう。翌2010年から実質的な経営再建を取り掛かるも、赤字が経営を圧迫し続けた。
そこへきて2011年3月に発生した東日本大震災のあおりを受け、ますます状況は深刻化。2011年夏、運転資金が尽き、追加融資も受けられず、いよいよ倒産寸前に追い込まれた。
【2012年、新規事業への挑戦】
会社の資産を売るため、必死に頼み歩く日々が続いた。社有地にやっと買い手がついたが、決済が終わったのは手形決済のわずか5日前だった。このようなどん底の経営状況の中、2011年秋、石井事務機センターは100周年を迎える。
ラストチャンスと覚悟を決め、社有地の売却で余った資金300万を担保に銀行に融資を懇願し、新規事業へ着手。すると突然、ある若手女性社員が心身のバランスを崩し、出社できなくなるというアクシデントが発生。
それをきっかけに、自社の社員が笑顔で働ける会社を創りたいと考え、「『働く』に笑顔を!」という企業理念が生まれた。
この理念をもとに事業開発に取り組んだところ、新たなビジネスモデル「WORK SMILE LABO」(ワクスマ)の発想が生まれた。
――ワクスマと名付けたテレワーク事業は時代に趨勢に乗り、成長と拡大を続けた。2016年、同社は創業105年目にして初の新卒採用を開始。テレワークを中心とした新しい働き方が多くの共感を得て、岡山県で入社したい企業ランキングで、衰退業種ながらも9位にランクインした。
そうした流れの中、2019年度の計画では全国に向け事業展開をすると決めたことも後押しし、同社は2018年9月に、社名変更することを決定した。
新社名は、岡山から日本へ、そして世界へというこれからの時流を考え「株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)」。社員規模も30名を超え、売上も5期連続右肩上がりの成長を続けている。
社名変更に伴う新たな取り組みとして、今後は、ICT導入が必要な中小企業が気軽に活用できるテレワークシステムの開発、ワクスマのFC展開、経営サポート事業などを行なっていく計画だという。
今年で創業107年目の老舗企業である同社が現在最も注力しているのがテレワーク。総務省のテレワーク先駆者100選企業に選ばれるなど、中小企業のテレワークの導入事例企業として全国的に認知されている。
しかしながら実は、わずか数年前の2011年夏には、運転資金が尽き、追加融資も受けられず、倒産寸前まで追い込まれていた。
ここで、会社の歴史とともに、V時回復までの経緯を順を追って紹介する。
【1911年の創業から2011年まで】
戦前は従業員数100名を超す大所帯であったが、岡山空襲によって人・店舗・商品を失い、さらには戦後の混乱に乗じた不法占拠により、土地も失う。その上、戦後のハイパーインフレで、蓄えた資産の貨幣価値までなくなってしまう。
そのため終戦直後は、闇市で商品を仕入れ、リアカーで販売するという、ゼロからの再出発となった。
その後、高度経済成長を背景に、事務用品の需要が高まり業績は拡大。しかしやがて、徐々に官庁の需要も減り始め、かつ複合機の保守メンテナンス料金の下落が始まる。
2000年頃には、アスクルなどの通信販売が市場に登場。その結果、事務用品の売上と利益率が下がるとともに、主力商材であったコピー機も成熟商材になり、熾烈な価格競争の波に飲み込まれた。
その後も官公庁の仕事は減り続け、業績は下落の一途をたどる。2008年のリーマンショックによって取引先も激減し、同業他社との価格競争の中、営業面での奮闘をもってしても業績回復の見通しは立たなかった。
2009年11月、とうとう経営が回らず廃業するか否か、切迫した状況になってしまう。翌2010年から実質的な経営再建を取り掛かるも、赤字が経営を圧迫し続けた。
そこへきて2011年3月に発生した東日本大震災のあおりを受け、ますます状況は深刻化。2011年夏、運転資金が尽き、追加融資も受けられず、いよいよ倒産寸前に追い込まれた。
【2012年、新規事業への挑戦】
会社の資産を売るため、必死に頼み歩く日々が続いた。社有地にやっと買い手がついたが、決済が終わったのは手形決済のわずか5日前だった。このようなどん底の経営状況の中、2011年秋、石井事務機センターは100周年を迎える。
ラストチャンスと覚悟を決め、社有地の売却で余った資金300万を担保に銀行に融資を懇願し、新規事業へ着手。すると突然、ある若手女性社員が心身のバランスを崩し、出社できなくなるというアクシデントが発生。
それをきっかけに、自社の社員が笑顔で働ける会社を創りたいと考え、「『働く』に笑顔を!」という企業理念が生まれた。
この理念をもとに事業開発に取り組んだところ、新たなビジネスモデル「WORK SMILE LABO」(ワクスマ)の発想が生まれた。
――ワクスマと名付けたテレワーク事業は時代に趨勢に乗り、成長と拡大を続けた。2016年、同社は創業105年目にして初の新卒採用を開始。テレワークを中心とした新しい働き方が多くの共感を得て、岡山県で入社したい企業ランキングで、衰退業種ながらも9位にランクインした。
そうした流れの中、2019年度の計画では全国に向け事業展開をすると決めたことも後押しし、同社は2018年9月に、社名変更することを決定した。
新社名は、岡山から日本へ、そして世界へというこれからの時流を考え「株式会社WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)」。社員規模も30名を超え、売上も5期連続右肩上がりの成長を続けている。
社名変更に伴う新たな取り組みとして、今後は、ICT導入が必要な中小企業が気軽に活用できるテレワークシステムの開発、ワクスマのFC展開、経営サポート事業などを行なっていく計画だという。
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