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マニュアル・「仕組み」で進める従業員スキルの標準化

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企業にとって、人材育成は避けて通れない課題であるが、従業員教育には時間と労力がかかる。人を育てる余裕のない中小企業などでは、OJTの名のもとに、ほとんど研修が行われないこともあるようだ。しかし、採用した人材を最大限活用するためには、一定レベルの知識やスキルをいち早く身につけさせ、従業員スキルの標準化を図る必要がある。

マニュアル主義の功罪

ファストフード店で「ご一緒にポテトはいかがですか?」と聞かれたり、コンビニでどう見ても二十歳以下には見えないのに年齢確認をさせられたりすることに、違和感を持つ人は多いのではないだろうか。日本では、こうした機械的な「マニュアル主義」に対して、一定数の批判的意見が存在している。行き過ぎたマニュアル主義が、自主的に考えて行動する能力を失わせていると憂慮する声も多い。

しかし、企業にとって、マニュアルは本来業務の効率化や標準化のために活用されるものである。マニュアルの質や運用のしかた次第で、企業の業績に大きく関わると言えるだろう。
実際に、マニュアルを重視し、運用を徹底することで業績を伸ばしている企業がいくつもある。

店舗運営に有効な、細かいマニュアル

衣料・雑貨専門店「無印良品」を展開する株式会社良品計画は、2001年に多額の赤字となったことをきっかけに、大幅な経営改革を実施した。その一つとして業務標準化を掲げ、「MUJI GRAM」と呼ばれる店舗業務マニュアルに大きなテコ入れを行った。
それまでは、店舗運営について細かく定められたマニュアルはなく、すべて経験値で行う属人的なものだったという。しかし、当時の社長である松井忠三氏は、特定の人に頼った運営では知識やノウハウが積み重なることがなく、会社の財産として蓄積されないことは問題であると指摘。特定の社員の頭の中だけに納められていたノウハウを、表に出して「見える化」し、マニュアルという形で仕組み化した。そのことにより、業務を標準化させることに成功。仕組み化したことで改善も可能になり、無印良品は38億円の赤字からV字回復を遂げた。
「MUJI GRAM」は全13冊、2,000ページで構成されており、挨拶のしかたや言葉遣い、お辞儀の角度に始まり、商品の並べ方からポスターの貼り方まで、店舗に立つ上で必要なことが、細かく記されている。

また、全国に1,365店舗(2017年2月時点)を展開する、ファストファッションの「しまむらグループ」も、アパレル小売りチェーンの「勝ち組」代表格とされているが、そのローコストオペレーションを支えているのが、マニュアルであるという。
オフィシャルページによると店舗運営に必要なすべての作業が最適に行えるよう、しまむらのマニュアルには、接客やレジ業務、商品陳列やディスプレイ、清掃の手順に至るまで、やり方が細かく記されており、新入社員でも一定レベルの業務ができるようなっている。そうした標準化と合理性を追求する姿勢が、右肩上がりの業績へと繋がっているのだろう。

チェーン展開している店では、どの店舗に入っても顧客に同じ印象を与えなければならなかったり、社員が勤務する店舗を異動してもノウハウが使えなければ非効率だったりするため、マニュアルによる業務標準化の意義は大きい。
マニュアルは、アルバイトを含む新入社員や異動した社員などを即戦力として有効活用できる、重要なツールなのである。

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