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森は考える

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『森は考える―――人間的なるものを超えた人類学』(エドゥアルド・コーン 著,奥野 克己・近藤 宏 監訳/亜紀書房)

 極めて難解な書というのが第一印象である。
 だれにでも勧められる本ではないが、日常生活から少しでも解放されたいと望む人にとっては一級品の頭の体操になる。
 著者のエドゥアルド・コーンは、カナダのマギル大学人類学部の准教授。本書について著者は、アマゾン河上流域で暮らしているルナ(族)の集落で4年間を共に過ごし、その観察や思考を元に書いた民族誌であると説明する。

 文化人類学者といえば、すぐに構造主義の中心人物・レヴィ=ストロースが思い浮かぶが、こちらの著作のほうが、原始社会における人間中心の世界観の分析といった感じで遥かに読みやすい。
 本書は、そのタイトル『森は考える』の通り、森の中の植物や昆虫、動物といったあらゆる存在が思考すると語る。それまでの人間中心の考え方を180度転換して、人間もこれらの「考える森」との相互作用によって世界観を創ってきたと言うのだ。
 これだけでも随分と斬新だというのに、さらに哲学的、記号論的、言語学、生態学、環境学、生命論を引用したり駆使したりしながら展開しているので、腰を据えて繰り返し読まないとなかなか頭に入ってこない。しかし、難解ながらも文化人類学を根本的に変えるであろう書物であることが肌で感じられる。
 本書は全6章から成り、第1章はルナとの生活や体験を通じて抱いた疑問から入っている。第2章では、「すべての生命は記号論的であり生命は思考し、思考は生きている、ともにまったく同一である」と語り、第3章の死と生命との関係に続く。4~6章では、様々な生命との意思疎通の仕方や、多くの生命形態に満ちている熱帯林での考察から、森とともに考える方法の確立にまで及ぶ。

 大胆に言えば、本書は「思考についての書」である。そして著者は「イメージをもって考える」ことを推奨している。普段、安易な読書ばかりしていると、これだけ硬派な内容が新鮮に感じられるから不思議だ。
『森は考える―――人間的なるものを超えた人類学』(エドゥアルド・コーン 著,奥野 克己・近藤 宏 監訳/亜紀書房)

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