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幸せになる勇気

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『幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』(岸見 一郎 著,古賀 史健 著/ダイヤモンド社)

『幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』(岸見 一郎 著,古賀 史健 著/ダイヤモンド社)

 本書はベストセラーとなった前作『嫌われる勇気』の続編である。3年ぶりに哲人を訪ねてきた青年は「アドラー心理学は空論だ」「アドラーを捨てるべきか否か」という悩みを抱えていた。彼は教師となり、アドラーの掲げた「ほめてはいけない、叱ってもいけない」という教育方針を実践したが、その結果、教室は荒れ、生徒は従ってくれなくなった。青年は仕方なく「叱責」するようになったが、状況は改善しない。「アドラー哲学はペテンだ」と語る青年に、哲人は「貴方はアドラーを誤解している」と答え、誰もが幸せに生きるためにすべき「人生最大の選択」について語り始める…。

 本書のテーマはほんとうの「自立」とほんとうの「愛」だ。だが、アドラーの語る「自立」や「愛」は一般に信じられているものとは大きく異なる。例えば、「自立」とは「わたしの価値を自ら決められること」だと言う。他者からほめてもらい、自らの価値を他者に決めてもらおうという態度は依存なのだと。自立はとかく経済的な側面からのみ語られがちだが、例え10歳の子供でも、その意味合いにおいて自立することはできるのだ。

 「愛」もアドラーにとっては、出会う相手や情熱とは無縁の、「ふたりで成し遂げる課題」となる。「わたしの幸せ」の追求でも、「あなたの幸せ」を願うのでもなく、不可分な「わたしたちの幸せ」を築き上げることが「愛」なのだ。そして、幸福なる人生を手に入れるために、「わたし」は消えてなくなるべきだと主張する。

 アドラーの言葉は表面的に捉えると、現実離れした理想主義と感じられるかもしれない。しかし、彼の哲学は第一次世界大戦中、軍医として働いた経験から生まれたものだ。入院中の兵士に治療を施し、前線へ送り返すという苦渋に満ちた任務の中で、彼は「いかにすれば戦争を食い止められるか」を考えた。そして、辿り着いた答えが、他者への「信頼」であり、「愛」だったのだ。「われわれは愛によって『わたし』から解放され、自立を果たし、ほんとうの意味で世界を受け入れる」とアドラーは語る。

 幸せになるのに勇気がいるのかと疑問に思われるかもしれないが、その「勇気」とは何を指すのか、一読すればわかることだろう。人を指導する立場にある経営者や管理職にこそ読んで欲しい哲学問答集だ。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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