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サイロ・エフェクト

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『サイロ・エフェクト~高度専門化社会の罠~』(ジリアン テット 著,土方 奈美 翻訳/文藝春秋)

 サイロとは、たこつぼのこと。本書は、企業や組織が経年劣化してたこつぼ化し、機能不全を起こす具体例とその反対の成功例を取り上げている。著者は、『フィナンシャル・タイムズ紙アメリカ版編集長』だが、元文化人類学者だったところが異色で、「インサイダー兼アウトサイダー」の視点を生かして企業や組織の在り方に切り込んでいる。

 そのサイロの事例として印象的なのは、2001年ニューヨークのワールド・トレード・センターへのテロ攻撃があったとき、部局間の断絶があまりにも深かったことである。勇敢に救助を行った消防局、警察、救急部局が、互いに無線などで連絡が取れないことが、この時初めて判明したのだ。またニューヨークでは年平均2700件もの火災が発生し、市役所にはその膨大なデータが蓄積されているのに、部局間のサイロに阻まれて有効活用することができなかった。その壁を打ち破り、どこで火災が発生するかを予測するシステムを作り上げた序章「ブルームバーグ市長の特命事項」と、どこで殺人事件が発生するかを予測する第五章「殺人予報地図の作成」は、推理小説を読んでいるように面白い。

 第二章『ソニーのたこつぼ』は、頂点を極めたソニーがいかに凋落したかを示す事例として取り上げられ、第四章『経済学者たちは、なぜ間違えたのか?』は、著者のスペシャリストならではの分析で、2008年に起こった金融危機に触れている。

 第六章「フェイスブックがソニーにならなかった理由」では、いかにしたらサイロ化を防げるかを具体例で示している。終章「点と点をつなげる」では、問題を解決するにはどうしたらよいかの方法論が示され、「インサイダー兼アウトサイダー」の視点こそが重要だと強調している。自社はサイロになっていないか、危機感をもって読み進めたい。
『サイロ・エフェクト~高度専門化社会の罠~』(ジリアン テット 著,土方 奈美 翻訳/文藝春秋)

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