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資本主義に希望はある ―― 私たちが直視すべき14の課題

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『資本主義に希望はある ―― 私たちが直視すべき14の課題』(フィリップ・コトラー 著、倉田幸信 翻訳/ダイヤモンド社)

 これほどタイトルと中身が異なる本というのも稀有である。原題は『Confronting Capitalism(資本主義の持つ問題を突きつける)』で、14の課題に集約した解決不可能に見える資本主義の問題点を、アメリカを舞台に分析している。
 読み進めればすぐに気付くのだが、邦題の『資本主義に希望はある』は完全な皮肉でしかない。

 「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラーは、同時に経済学者でもある。本書ではそうした経済学者としての視点から、いかにしたら資本主義が「最大多数の最大幸福」を実現できるかといったソーシャルマーケティングのアプローチに力点を置いて語られている。
 一方で、ベストセラーのトマ・ピケティ著『21世紀の資本』を「所得格差のみに焦点を当てている」とし、本書で扱う14の課題の一部に過ぎないと手厳しい。

 第一章「貧困問題は未解決である」では、地球上70億人のおよそ50億人が貧困または極貧状態にある、と述べられている。
 そして第二章「拡大する所得格差」で、世界の最富裕者85人の資産が、貧困層35億人の資産総額よりも多いと続く。最も豊かな10%の富裕層が世界の富の86%を所有し、そのうちトップ1%は世界の富の46%を握っていると説明。アメリカの格差も深刻で、わずか40人のスーパーリッチ層が労働者40万人分の稼ぎを手にし、2012年には米国民の15%に相当する4650万人が貧困層となり、4人に1人の子供がそこに含まれる。日本でも5人に1人の子供が貧困層であると述べている。
 第三章「搾取される労働者」以下「乱高下する市場」「借金で豊かになれるか」「短期的利益を重視する弊害」「マーケティングの功と罪」などを該博な知識を駆使して解剖していく。
 最後に「さらなる経済成長は必要なのか」「モノだけでなく幸福も生み出そう」と続く。「芸術や文化、宗教と深く係わり、物質的欲望を抑えて簡素に生きよう」という結論は決して目新しいものではないが、それだけに永遠の真理に思えてくる。
『資本主義に希望はある ―― 私たちが直視すべき14の課題』(フィリップ・コトラー 著、倉田幸信 翻訳/ダイヤモンド社)

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