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第288回  「ひとりの人間でそんなに能力出ませんよ。」イトーヨーカ堂 元社長 伊藤雅俊

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 伊藤氏は、1924年、東京生まれ。イトーヨーカ堂の前身は伊藤氏の兄、譲氏が経営していた羊華堂洋品店。譲氏が死去したため、伊藤氏が経営を引き継ぎ、1958年にヨーカ堂に社名を変更した。以来、経営トップとして、同社を日本有数のスーパーマーケットに育て上げてきた。

 掲出は社長を鈴木敏文氏に譲った時、雑誌のインタビューのなかで語った言葉。もちろん、鈴木氏の能力が低いという意味ではない。社長を任せたほどだから当然といえば当然だが、伊藤氏は鈴木氏の経営手腕を高く評価していて、「彼は1つのルールのもとに徹底してやるのに対して、自分は情に流され思い切ったことができない」といった意味のこともいっている。つまり、掲出は、人間にはタイプがあり、得意なこともあれば不得意なこともあり、一人では限界があるということだ。

 組織は多様な人材がいてこそ、より大きな力を発揮できる。武田信玄の有名な言葉に「人は石垣、人は城」というものがある。人の力こそが戦を決するという意味で、実際、信玄は本格的な城を築くことはなかったという。

 しかし、考えてみると、石垣というもの、大小さまざまな形の石が組み合わさっているからこそ、大きな力がかかっても分散されて崩れない。城も同じで本城の周囲に支城や砦を適切に配置して、初めて敵の侵入に対応できる。組織も同じではないだろうか。いろいろなタイプの人材がいて、不得意なことをカバーし合えたら強い。

 リーダーの重要な役割の1つは、そんなさまざまなタイプの部下を適切に組み合わせ、大きな力に変えることといえるだろう。ところが、リーダーのなかには何でも自分でやらないと気が済まない人がいる。優秀な人ほど、その傾向が強いようだ。その意味で、掲出は肝に銘じておきたい言葉といえるのではないだろうか。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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