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ミドルの戦略的活用による組織活性(5/5)

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キャリア自律という心理的契約

キャリア自律という心理的契約

 第2が、40歳という節目の扱いです。40歳以上になって、キャリア自律を考えて下さいといっても、それはなかなか難しい。多くの企業で、キャリア研修はミドルを過ぎてからやります。キャリア自律への意識を促したり、自分のスキルを棚卸したりするものが多い。
私は、キャリア自律というのは、私は、本人と企業との心理的契約だと思っています。 「企業はこういうことをやってあげます、ここまでやってあげるんですよ。だから働く人はここまでやってください」という交換関係です。そういうものが成立して初めて、キャリア自律が出てくるのだと思います。

 40歳以上になってあなた方は要らなくなったからキャリア自律してください。それまでは、ミドル・マネジャーにいけるかもしれない、上にいけるかもしれない、と幻想を抱かせながらやって来て、突然、「あなたは自律を考えて下さい」といっても、必ずしも考えられないというのが実態ではないかと思います。

キャリア自律研修は30歳くらいから

 キャリア自律の訓練は、だいたい30歳くらいからやらないとうまくいかないですね。早期からのキャリア自律の研修、意識づくりというものをやっていかなければいけない。よく「40歳以前にやったら会社を辞めちゃうよ」とおっしゃる方が出てくるんですけど、それを含めたうえで若いときからやっておかなければならない。

 それをしないと、将来が見えないキャリアミストの状態の中で、自分の生き甲斐や働きがいのある仕事が見えてこなくなる。突然、他に自律的に自分のキャリアを考えて下さい、と言われても、殆どのひとはそうしたことが出来ない。これは働く人にとっても、企業にとっても大きな問題だと思います。

トップではないミドルのパワーアップが重要課題

 第3は、ミドルが活性化して、活き活きと働いていくというのが重要だと思います。企業の中での自分のやるべきことを認識して活き活きしていく。あるいは、他の企業に移ることを考える。ミドルパワーと私は呼んでいますけども、そういう時代が来ないとこれからは難しいと思います。

 そのためには、日本の人材マネジメントの在り方をこれまでのやり方から、さまざまな形に変えていかないと難しい。戦略的人事というと、トップの優秀な人には光を与えますけど、企業の活性化を考えたときには、そうではない多くの人たちに対してどういう光を与えていくのかというのが、重要な領域です。お荷物だという認識ではなく、ミドルをパワーアップに繋げていくというのが、今日の重要課題です。
 具体的には、人材マネジメントの変革が必要です。長期雇用政策の見直し、“年功的人事”からの最後の決別、職務を中心とした処遇体系の構築、キャリア開発の仕組みの変革など、様々な施策が必要となります。それらは企業全体の人事マネジメントのパラダイム・シフトをもたらすものになるでしょう。
 そして、4番目、最後がここまで来て初めて、キャリア自律ということになる。企業が働く人にキャリア自律を求めるのであれば、自分の方も、それなりの覚悟と施策が必要です。こうしたことを実現するために経営者・人事にとっても最も必要なのは、ミドルを活用しようとする本気度と周囲への説得だと思います。

〔HR EXECUTIVE FORUM Vol.6 9/4講演【ミドルの戦略的活用による組織活性】より〕

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プロフィール

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院商学研究科教授。人材論・人材マネジメント論専攻。
80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。
人的資源管理論でPh.D.を取得後、カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。
90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授を経て、
2001年より現職。著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』
(共に日本経済新聞出版社)などがある。

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