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ミドルの戦略的活用による組織活性(4/5)

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不活性化されたミドルの刷新

不活性化されたミドルの刷新

1990年にバブルが崩壊し、多くの企業で、バブル時代に採用された人たちというのは、40歳、45歳、50歳といったミドル・マネジメントの年齢に入ってきています。リーダーシップをきちんと学んでこなかった人たちが中間管理職になり始めたのにもかかわらず、そのための能力がない。中管理職にしようと思ってもなかなか登用できない。人材の無駄がさらに大きくなります。

さらに人件費を減らすためにいろいろな企業がポストを減らしている。結果として、管理職になれない人が増えてくる。組織のスリム化が起きて、不活性化ミドルが増えています。また企業はここ暫く、早期選抜型人事にもの淒いお金をかけている。でも、選抜されない人たちには、あまり使われない。

早期選抜や彼ら・彼女への大きな投資自体は、どこの企業でもやっていることで、別に悪いことではありません。ただし、さまざまな副作用が起きてくる。不活性化されている人たちに人事がきちんと対応できていないとすれば、企業の競争力の低下につながっていくのではと危惧します。

考えるべきポイントというのは、今の人材マネジメントで解決できないのであれば、それを変えることによって、不活性化されたミドルを刷新していく、活用できるようにしなければいけないのではないでしょうか。人事がどこまで対応できるのか、というのが非常に大きな課題です。

それでは経営者や人事は、どのように考えていけば良いのか。4つのポイントがあると思います。1番目は、雇用責任に関する雇用概念を企業は変えていかなければならない。2番目は、人生の勝負・40歳地点がキャリア上の折り返し地点であることを認識して、それなりの施策を入れる。3番目は、本当は優秀なのに、活躍する場が与えられてない人たちに対してどういう場を与えていくのかを考える。4番目は、キャリア自律を考えていくことです。

“雇用責任”概念の見直し

今までの「雇用責任」というのは、雇用を守ってあげることと企業は考えてきました。これからの雇用責任というのは、本人が雇用を守ることができるように能力開発を行うこと、きちんと育成をしてあげることです。それが本当の雇用責任だと私は思います。

わが社で通用する人材育成から、仕事が本当にできて、極端に言えば、他社でもしっかりと仕事ができる人を育成する。そういうことをきちんと考えていかないといけません。企業の状況によっては人の首を切らなければならない、解雇しなければいけないという状況もでてきます。雇用責任をぎりぎりまで守った上で、それでも解雇しなくてはならないのであれば、別の所へいけるような面倒をみていくことは必要だと思います。

もちろん、このことは企業にとっては有利な面でもありますが、優秀な人材に逃げられるかもしれないという大きなリスクも伴います。でもそれは別の手段でリテンション(維持・確保)する。彼らに対して魅力的な働きがいのある仕事やキャリアを与えたりしてリテンションをはかっていく。

〔HR EXECUTIVE FORUM Vol.6 9/4講演【ミドルの戦略的活用による組織活性】より〕

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プロフィール

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院商学研究科教授。人材論・人材マネジメント論専攻。
80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。
人的資源管理論でPh.D.を取得後、カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。
90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授を経て、
2001年より現職。著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』
(共に日本経済新聞出版社)などがある。

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