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ミドルの戦略的活用による組織活性(3/5)

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組織の競争力を削ぐ可能性

組織の競争力を削ぐ可能性

 今、日本の企業の中で、人材を精一杯使っていない、本人の持っている能力をキャパぎりぎりまで使っていない、ということが企業の責任だとすれば、人件費の無駄だと思うんですね。これは大きな人材ロスでどうやって解決していくのかが大きな問題です。ミドル・エイジの人が一生懸命に能力を高めてきたのにもかかわらず活用されていない、もしくは期待されていない。それは無駄の多い人材活用であって、結果としてみると組織の競争力を削いでいる可能性があるのではないでしょうか。

 不活性なミドルというのは、本当はほとんどが優秀な人材です。能力もスキルも高い人たちで、真面目で意欲的でポテンシャルが高い人材なのに企業とのミスマッチが生じている。きちんと役割を与えてあげれば、活躍できる人材です。それが不活性の問題です。

 それではなぜ最近、こういう問題が重要になってきたのかというと、日本企業の経営戦略が昔と比べて大きく変わってきたからです。長期的成長を目指した経営から、短期的な収益のための事業の選択と集中、事業再編などへ戦略が転換されてきた。それと同時に、戦略人事というのが重要になってきました。

 必要な能力やスキル、戦略が変化したために、それまでは重要だったのに必要でなくなった人材というのがだんだんと増えてきた。 戦略の変化に合わせた人材ニーズの充足が、人材マネジメント上の課題になればなるほど不活性化した人材というのが増えてくる。ある意味、矛盾した問題ですけど、それをどう考えていくのかが大きな課題にあげられるように思います。

バブル期の大量採用とその後の採用抑制

 またバブル期に大量採用した人材=バブル・バルジ(バルジbulgeは英語で膨らんでいる部分の意)と、その後の採用抑制、バブルが崩壊した後に多くの人を採用していないということがあります。そこで起きた問題は、大量採用した人たちを活用できる管理職ポストが無くなってきていることです。
もうひとつ、この世代の特徴は後輩が少ないことです。バブルが崩壊し、それ以降の採用が手控えられたからです。そのため、指導する機会が少ない。そしてこのことは、人材マネジメント上、問題がある。なぜかというと、後輩の面倒をみたり、物事を教えたり、小言を言ったり、褒めたりする中からリーダーシップが育つからです。

〔HR EXECUTIVE FORUM Vol.6 9/4講演【ミドルの戦略的活用による組織活性】より〕

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プロフィール

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

一橋大学大学院商学研究科教授。人材論・人材マネジメント論専攻。
80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。
人的資源管理論でPh.D.を取得後、カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。
90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授を経て、
2001年より現職。著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』
(共に日本経済新聞出版社)などがある。

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