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ライフネット生命のダイバーシティ戦略(5/5)

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ライフネット生命の運営の秘訣はプロジェクトに素人を入れること

ライフネット生命の運営の秘訣はプロジェクトに素人を入れること

ライフネット生命は、ほとんどは保険会社の経験者を中途採用してるんだろうと思われがちですが、実は半分です。半分がほかの業界から来た人です。それに加えて、何かやるためにプロジェクトチームをつくるときは、必ず素人を入れるようにしています。

 たとえば、保険金の支払方法を検討するプロジェクトだと、保険金部のチームが中心ですが、1人か2人は無関係の人を入れたりします。そうすると最初は面倒です。プロなら全て知ってることを素人に1つ1つ教えなくてはいけませんから。ところが、素人が入ってると、素朴な疑問を出して、思わぬ解決策が生まれるのです。2012年に、ライフネット生命では、一部の医療保険の請求時に、医師の診断書の提出を原則廃止にするサービスを開始しました。保険業界では、請求時にお客様に診断書を提出してもらうのは当たり前でした。でも、これにより、お客様は診断書の取得費用数千円が不要になり、手間や時間も省ける。このように、世の中がよくなるんですよね。

 ライフネット生命を創業するとき、お客様からの電話に対応するコンタクトセンターを立ち上げましたが、そのときも素人を入れました。コンタクトセンターは、受付時間はだいたい朝9時から夕方6時までというのが業界の常識だったのですが、そのスタッフが「会社勤めの人は勤務時間に電話なんかできない。おかしいですよ」と言い出して、ライフネット生命は夜10時までを受付時間にしました。プロばかりだと、こういう疑問は起こらない。だから、ダイバーシティというのは面倒ですが、意味があると思います。

大手生保を経て還暦ベンチャーを始めた理由

日本がちょっと貧しくなっていると先ほど言いましたが、これをブレークダウンすると、日本は20代がすごく貧しいのです。厚生労働省の調査では、20代の1世帯当たり平均所得金額は300万円程度です。このデータを見たときに、僕はこの社会を変えたいと思いました。20代で2人で300万円だったら赤ちゃんを産めないでしょう。結婚もしんどいですよね。ということは社会は晩婚化し、少子化になります。

 こんな社会を変えたいと思ったときに、僕は何ができるかと考えたら、日本生命に34年間勤めていて生命保険しか知らないので、ゼロから保険会社をつくって、保険料を半分にして安心して赤ちゃんを産んでもらおうと、60歳でライフネット生命を創業しました。いま、67歳なので7年前ですが、還暦ベンチャーです。インターネットを使えば、保険会社側の経費を抑え、保険料を半分にできるので。長期間働けない状態に備える就業不能保険という保険商品も、生命保険業界で初めて売り出しました。まだ小さい保険会社ですが、商品やサービスがいいと、いろいろな賞もいただいています。

 お客様からいただける評価が高いことは一番うれしいですが、ライフネット生命がどのような思いでどのような保険を提供しているのかは、まだまだ知られてません。だから、本を書いたりブログを書いたりして、一所懸命発信しています。よかったら読んでみてください。今日はご清聴ありがとうございました。

〔経営プロサミット2015 6/4講演「ライフネット生命のダイバーシティ戦略 ~多種多様な人材が創るイノベーションを目指して~」より〕

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プロフィール

ライフネット生命保険株式会社<Br>代表取締役会長 兼CEO 出口 治明 氏

ライフネット生命保険株式会社
代表取締役会長 兼CEO 出口 治明 氏

1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年6月より現職。

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