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クオリティフォーラム2017 企画セッション「企業理念・ウェイの浸透、展開」 Panasonic Beautyのブランドマネジメント~思想に裏打ちされたカテゴリブランドがもたらす持続的競争優位~

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「忙しいひとを、美しいひとへ。」 圧倒的な共感を呼ぶコンセプトの成り立ち

Panasonic Beautyは元々スチーマーを販売していたが、販売台数は伸び悩んでいたという。
そこで対策を検討するために女性の生活実態を調査したところ「美容のケアをしたくても時間が確保できない」という実情が浮かび上がってきた。ここから生まれたのがナイトスチーマーだ。最大の特徴は「眠っている間にエステが可能で、肌も髪もうるおう」という全く新しいライフスタイルを提案したこと。実はスチーマーには確実に需要があった一方で、「スチーマーを使う時間のゆとりがない」という声も多かったそうだ。

ナイトスチーマーの主なコミュニケーション戦略は以下の2点。
●口コミの拡散を加速させるため、技術や肌効果よりも「寝ながら使う」という使用シーンを強調して驚きを演出。
●女性の本音に迫るコピーとして「最近、キレイになるヒマがない」を採用。共感してくれる人が必ずいると確信するまでこだわった。

この結果、ナイトスチーマーは大ヒット。初年度に当初の計画の3倍にあたる15万台を突破するなど市場に新しいポジションを確立した。そしてこのヒットを受けて「忙しいひとを、美しいひとへ。」というコンセプトが誕生し、美容家電にしか実現できない美の提供を技術訴求からライフスタイル訴求に変更したのだ。

齊藤氏は同ブランドのマーケティング戦略について「機能だけではなく商品が提供する価値・ベネフィットを伝えること。確かなエビデンスで実感の声を広げること。そして女性の共感を獲得し、必欲品を必需品に変えていくこと」と解説した。
ターゲティングによる市場開拓へのチャレンジ

ターゲティングによる市場開拓へのチャレンジ

同コンセプトは現在まで継続して使用されているが、実は2度のリノベーションが行われている。1度目のリノベーションのきっかけは、ナイトスチーマーのヒットを受けて競合他社が相次いで参入し、競争力を高める必要性が出てきたことだった。

市場優位性を高めるために幅広い世代を対象に大規模な定量調査を実施したところ、「若い世代ほど美容商品の利用意向が高いが、この世代にスチーマーは売れていない」という矛盾を発見した。
そこで、数字だけでは把握できない実態に迫るため定性調査を実施。一般女性ユーザーや、女性をターゲットにした商品を扱う企業の担当者を対象に、女性の美容意識・消費行動について徹底的に取材したという。

この取材で明らかになったのが「20代にとって美容家電が『自分ごと化』されていない」ということだった。

新たに20代後半の女性をターゲットに定めた同ブランドは、コンセプトのリノベーションに着手。等身大で身近なイメージを重視しながら「もう、今までのケアじゃだめなんだ」という意識を顕在化させ、影響力の強いマスメディア広告を通じて「20代後半=美容家電適齢期」と気付かせる表現を模索したそうだ。

●広告表現で潜在需要を喚起
様々な訴求パターンを20代女性に見せて調査した結果、日常に潜む美容に対する悩みや不安を言葉で提示する手法が効果的だと判明。気付きのプロセスを踏ませることで商品との出会いがより印象的になり、必要性が高まる。

当時のリノベーションの経験から、齊藤氏は「誰でも簡単に情報発信できる時代になり、企業からの一方的なメッセージや表面的な表現では見向きもされない。より踏み込んだ表現で、一歩近づいてコミュニケーションをとろうとする姿勢を示すことで、やっとターゲットと会話できる」と述べた。

これらの取り組みの結果、ドライヤーの販売で過去最高を達成するなど、同ブランドは大きく盛り返した。また、20代の認知率も前年から10ポイントアップし、スチーマーの購入者も20代がトップになるなど、ターゲットの需要喚起にも成功した。

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