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渋沢栄一の「士魂商才」 ビジネスリーダーなら知っておきたい「日本資本主義の父」の肖像

第16話:西欧文化の刺激

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いよいよフランスに安着し熱烈歓迎を受ける

途中、エジプトのカイロに立ち寄った一行は砂漠とナイル河は眺めたものの、着いたのが夜中だったためピラミッドは見物できなかった。

27日午前10時、アレクサンドリア着。28日早朝、「サイド」と呼ばれるインド洋郵船より小型の船に乗り、31日午後6時に地中海のほぼ中央にあるイタリア領サルジニア島に到着。2日午前9時には島を去り、ナポレオンの出身地・コルシカ島との間を通って3日午前9時半にマルセイユ港に入った。ようやく一行はフランスの土を踏んだのであり、これは横浜を出てから47日目のことであった。

この国際港では、入船が電信で役所に伝えられると、その着船を待って鎮台が祝砲を撃つことになっている。その祝砲が放たれるやほどなく鎮台の司令がバッテーラに乗って出迎えにあらわれ、その案内で上陸した一行を馬車に乗せたばかりか、騎兵一小隊に前後を守らせてグランド・ホテル・ド・マルセイユに送り届けくれた。

その後は鎮台司令、海陸軍総督、市長らが礼服を着用して代わる代わる来訪。安着を祝ってくれたので、こちらからも鎮台と陸軍総督(公館か)を訪問して返礼とした。すると先方は、午後8時から劇場へ招待してくれた。これらマルセイユ市の下にも置かない歓迎ぶりは、一行の旅の成功を予感させるものであった。

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プロフィール

作家 中村 彰彦

作家 中村 彰彦

1949年栃木県生まれ。作家。東北大学文学部卒。在学中に「風船ガムの海」で第34回文學界新人賞佳作入選。卒業後1973~91年文藝春秋に編集者として勤務。1987年『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。1991年より執筆活動に専念し、93年、『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞を、94年、『二つの山河』で第111回(同年上半期)直木賞を、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を、また2015年には第4回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞する。近著に『幕末維新改メ』(晶文社)など。史実第一主義を貫く歴史作家。

ホームページ:中村彰彦公式サイト

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