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真の「幹部」を育てる

第3回  「全体を見て仕事をする」ことの壁

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マネジャーから幹部になってぶつかる2つ目の壁は「全体を見て仕事をする」ことの壁です。ただ、この話をすると「私はマネジャー時代もチーム全体を見て仕事をしていた、だから壁は感じない」という人がいます。
確かに、プレイヤーからマネジャーになった時点で、「自分で成果を出す」という意識から、「人を動かし、チームの成果を出す」という発想に切り替える必要があり、チーム全体を見て仕事をすることには慣れている人も多いでしょう。

しかし、幹部にとっての「全体」はもっと範囲が広いのです。会社を支える「幹」である幹部は、自部門全体を見ているだけでは足りません。会社全体のことを見て仕事をすることが求められます。
例えば、部門の方針を決める際に、「この方針を打ち出したら、自部門は成果を出せるか」というレベルでは幹部ではありません。「この方針を打ち出したら、自部門は全社に影響力を発揮し、会社の実績向上につながるか?」という感覚が必要です。
そのためには、全社のビジョンや方針を念頭に置き、他部門の動きも見ながら自部門の動きを決めることが大切になります。

ただ、「全体を見て仕事をする」のは簡単ではありません。私も、様々な企業様で「幹部研修」を実施しますが、幹部同士が連携し合っていないことが少なくないと感じます。それどころか、「営業がおかしな受注をしてくるから、納期が大変だ」「生産は文句が多すぎる。今の時代を分かっていない」等、他部門を批判し合う姿も珍しくないのです。
このような姿を見たら、従業員はどう思うでしょうか?「そうか、我々の仕事がきついのは、やっぱり他部門が悪いんだ。幹部が言っているのだから間違いない」と、セクショナリズムを深める原因にもなります。メンバークラスからヒアリングをすると、「うちは幹部同士が仲が悪いので……」と嘆く企業は少なくありません。

では、幹部が「全体」を見るためにはどうすれば良いのでしょうか?

①「お客様への更なるお役立ち」をテーマに徹底的に話し合う
幹部ミーティングで、各部門の現状を発表し合って終わりになっていては全体を見た幹部は育ちません。「会社がお客様への更なるお役立ち」をするために何をすればよいかを徹底的に話し合い続けることです。「お客様」を中心に話し合いを続けることで、「お互いが連携しないと、今以上の価値は提供できない」ということを実感し、全体を見る目線が徐々に養われます。

②他部門へのリーダーシップを発揮する
マネジャー時代は、主に部下に対してリーダーシップを発揮することが多く、幹部になってからも目が部下にしか向いていない人も多くいます。しかし、幹部は上下左右にリーダーシップを発揮することが求められます。必要であれば、他部門に提案を行い動かすことも必要なのです。そのためには、「提案力」「交渉力」といった、コミュニケーション能力が問われます。

③日頃の他愛もない会話を大事にする
幹部同士が連携できている企業を見ると、「昨日のゴルフどうだった?」「明日は出張?お土産買ってきてよ」など、気さくに会話を交わしている様子が見られます。このような会話は「意図的に」行われているのが通常です。日頃から話しやすい状況を意図的につくり、いざという時にスムーズに連携できるようにしているのです。

時代の変化が激しい現在、部門同士がフレキシブルに連携して新たな動きを起こす必要も少なくありません。幹部が「全体を見る」ことを通じて、強いリーダーシップを発揮していただくことが求められています。

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プロフィール

株式会社ジェック CPM経営変革推進統括 取締役 松井 達則 氏

株式会社ジェック CPM経営変革推進統括 取締役 松井 達則 氏

1972年生まれ。立教大学卒業。アメリカン・エキスプレスを経て、2001年株式会社ジェックに入社。通信業界・住宅業界・不動産業界・食品メーカーをはじめ、多くの業界に対してリーダーシップ教育及び現場変革コンサルティングの経験がある。特に、営業部隊の変革には定評があり、これまで多くのプロジェクトリーダーとして顧客成果を創出している。近年は「自律型人材育成」をテーマに、創造的な職場づくりへの取り組みに力を入れている。
【著書】 『メモテク』(かんき出版)、『営業のプロが教えるすごい仕事術』(日本実業出版社:共著)
【執筆】 『ザッツ営業』(日本実業出版社)、『企業実務』(日本実業出版社)、『近代中小企業』(データエージェント)

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