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真の「幹部」を育てる

第1回  幹部になるための3つの壁

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 皆さんの会社では「幹部」を育てる教育を行っていますか?
 実は、ここ数年「幹部を育てるための教育が必要だ」と言う企業が増えています。
 「幹部」がどのポジションを指すかは、企業によって様々ですが、一般的には事業の責任者クラス以上(部長や事業部長以上)を指すことが多いようです。

 これまでの事業を、これまでと同じように続けるのであれば、かつての幹部のやり方を踏襲すればよいのかもしれません。しかし、かつてない程めまぐるしく世の中が変化しています。自動車はガソリンから電気(EV)や自動運転に変わりつつあります。働き方改革で、多くの人が家で仕事をするようになるかもしれません。企業は、ますますグローバル化を進めています。
 これまで経験したことがない変化に対応して、今の事業をどのように成長させ、どのように変化させ、時にはどのように止めるのかを「部門経営者」として考え、判断する。これが、今求められる幹部像なのです。

 「これまでの幹部のやり方を踏襲」するのでは通用しないということに危機感を抱いている経営層や教育担当者の皆様が、「今の時代の次期幹部を育てるための教育が必要だ」と声を上げています。
 ただ、教育は簡単ではありません。なぜなら、マネジャーと幹部では、仕事の質に大きな隔たりがあり、次の3つの壁があるからです。

【壁1】「先を見て仕事をする」ことの壁
 通常、幹部になる前のマネジャーは、部下を管轄して目の前の目標を達成することに意識を向けています。一般的な関心事は「部下がしっかり仕事をしているか」「今月の目標が達成できるか」「最終的に年間の目標が達成できるか」ということです。
 一方で幹部は、「数年後に、この事業をどこまで伸ばすのか」「そのためには、どのような戦略を取るか」と、常に先を見ることが求められます。なぜなら、事業を継続させ、成果を上げ続ける責任があるからです。幹部に成り立ての人が最初に壁を感じる部分であり、これができずに、苦戦している幹部も珍しくありません。

【壁2】「全体を見て仕事をする」ことの壁
 マネジャーは、「自分のチーム」の成果を上げることがミッションです。それ以外のミッションは通常ありません。もちろん幹部も、「自分の事業」「自分の部」の成果を上げることが第一のミッションではあります。
 しかし、幹部の「幹」は企業を支える幹(みき)という意味合いであり、会社全体の成果を常に意識することが求められています。自身が管轄する事業をどのように展開すれば、他の事業に良い効果をもたらすことができるかを考えることが必要です。この全体を見て仕事をする(全体最適思考)が第二の壁となります。

【壁3】「自分で手を動かさない」ことの壁
 多くの企業のマネジャーは、いわゆる「プレイングマネジャー」として一人のプレイヤーとして成果を出していることがほとんどです。メンバーのお手本となるために、一番成果を出している人も珍しくありません。「現場で忙しく走り回っている」ことを誇りに感じている人も多くいます。
 一方で、幹部は自分で手を動かしません。事業の方向性を決め、判断を下し、全体を管轄することに意識を向ける、つまり「舵取り役」に専念することが求められます。これまで現場で走り回ってきた方にとっては「こんなに仕事をしなくて良いのか?」と感じるようであり、これが3つ目の壁となります。

 以上の3つの壁を乗り越えることが、真の幹部となるための最初の試練です。このコラムでは、この3つの壁をどう乗り越え、どのように幹部を育てる必要があるかを考えていきます。

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プロフィール

株式会社ジェック 事業開発部 部長 松井 達則 氏

株式会社ジェック 事業開発部 部長 松井 達則 氏

1972年生まれ。立教大学卒業。アメリカン・エキスプレスを経て、2001年株式会社ジェックに入社。通信業界・住宅業界・不動産業界・食品メーカーをはじめ、多くの業界に対してリーダーシップ教育及び現場変革コンサルティングの経験がある。特に、営業部隊の変革には定評があり、これまで多くのプロジェクトリーダーとして顧客成果を創出している。近年は「自律型人材育成」をテーマに、創造的な職場づくりへの取り組みに力を入れている。
【著書】 『メモテク』(かんき出版)、『営業のプロが教えるすごい仕事術』(日本実業出版社:共著)
【執筆】 『ザッツ営業』(日本実業出版社)、『企業実務』(日本実業出版社)、『近代中小企業』(データエージェント)

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