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人と組織が活きる経営判断

第11回  個人と組織の「心の力」を引き出す組織文化とは ~お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営~

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ピンチをチャンスに変える人財とは

ピンチをチャンスに変える人財とは

 激しさを増すタービュラントの時代、我々の経済社会を取り巻く環境はまさに乱気流の真っただ中にあります。社会不安を煽る出来事は枚挙にいとまがなく、人々の不安感情が増せば増すほど、成熟経済社会下では経済活動が停滞することは、一般的に知られる現象です。
 経営トップは、このような苦境の中で経営判断をし、組織の舵取りをしていかなければならず、その心的負担は大変なものです。
 このような時代に必要な人財は、苦境を動力に変えて自ら乗り超え、ピンチをチャンスに変え、新たな価値を創る人財です。
 苦境と思うほどの強いストレスに対応する力は、生まれつきの傾向というよりも、何らかの知識・教養・体験を通じて培われてきています。経営トップにも新人の時代があり、営業や技術、企画などの実務に従事し、リーダーや部門長を経験し、失敗や成功を繰り返してきています。
 その時々で大きなストレスがかかっても、それをバネに「新たなノウハウや価値の創造」に結び付けているのです。

心の力=メンタルパワーとは

 苦境を乗り越え、創造性を発揮するために必要なものは、心の力(メンタルパワー)です。これは、ストレス(心身に負荷がかかった状態)を、健全化(心身にプラスになるように活用する)することで、創造性を発揮し、業績成果に結び付ける心理的能力のことです。
 ジェックは、心理学的要素をベースに4つの能力にまとめています。

(1)問題解決力
要求事項と現状のギャップを解決する基本的問題解決能力

(2)ストレッサーコントロール力
ストレッサー(ストレスの原因)を認識し、適切に処理する力

(3)主体的試行力
受け身でなく、主体的に興味や関心事にチャレンジする力

(4)自他尊的意味化力
自分の美点や強みを認識することで、他人のそれらを認め、今の仕事の意味や社会的意義を見いだす力

 これらに加えて、物事に対する「ポジティブ感情」(自己肯定的な心の状態)と「ネガティブ感情」(自己否定的な心の状態)の比率を、3対1以上の割合に転換する能力も必要です。

組織の心の力=メンタルパワーを強化するには

 さまざまな苦境に柔軟に順応し、新しい価値を創造するために経営トップとして大切なことは、組織全体の心の力(メンタルパワー)を醸成することです。
 組織の心の力(メンタルパワー)を強化するには、集団性格に着目することです。集団性格とは、「挑戦・協調・お役立ち」の3つの価値観とそれに基づく行動様式に表れる集団の特徴のことで、組織文化とも言えます。
 集団性格を高めれば、組織のメンバーのメンタルヘルスを良好にするばかりか、組織の心の力(メンタルパワー)を強化できるのです。
 具体的には、「お役立ちの価値観とそれに基づく行動様式」を意識して行動すれば、(1)の「問題解決力」が強化されます。
 問題の解決策は、さまざまな視点で問題を捉えることから生まれてきます。例えば、お客様の視点、お客様のその先のお客様の視点、未来からの視点、過去からの視点など、あらゆる視点から問題の本質を探り、Win-Win-Winの知恵を引き出し、解決策を導いていきます。
 ここから、物事に対する視点や捉え方を客観視する「メタ認知」が磨かれ、問題の本質的な原因を探り、コントロールする、(2)の「ストレッサーコントロール力」が強化されます。
 次に「挑戦の価値観とそれに基づく行動様式」は、一人ひとりが主体的に試行錯誤し、可能性を見いだし、挑戦すること。これにより(3)の「主体的試行力」が強化されます。
 さらにチームや組織の知恵や連携を引き出し、自尊感情や他尊感情を尊ぶ精神を促進する。(4)の「自他尊的意味化力」が強化されます。

 人のために役立つ喜びは、自らを動機付ける原動力になるものです。それをチームや組織で共有化することは、組織全体のモチベーションを高めることになります。

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