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経営階層に求められる能力とは?

第9回  理念経営の復活

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理念経営とは?

 以上のことから、本稿のテーマである「理念経営」とは、各企業の「企業特性」に沿った「真・善・美」の理念価値を実現しようとする経営活動ということができます。
 心理学の世界では、最近「アドラー心理学」が盛り上がってきておりますが、フロイトの説いた「精神分析学」との違いは何かというと、前者が目的論的アプローチに対して後者は決定論的アプローチであると言われております。科学の世界では決定論的アプローチは必須ですが、それは物質の世界においての話であって、心の世界では必ずしも決定論的である必要はなく、むしろ目的論的アプローチの方が救いが多いということが言えます。
 理念経営において大切なのは、この目的論的アプローチです。確かに企業の持っているリソースや置かれている環境に制約されて、その結果可能となる活動が決定される面もあります。しかし、それに従うだけでなく、明確に目指すべきビジョンを掲げ、果たすべき使命とビジョンと使命をつなぐ志を明確化して、社員に徹底的に共鳴してもらうことが重要です。これが繰り返し徹底されれば、ビジョンに向かった自発的な活動と、全社員の念いにより、ビジョンにふさわしい引き寄せ効果も起きてくることとなります。

理念経営の例

 理念経営の具体的事例を紹介しましょう。第3回でも記述しましたが、驚異的発展を遂げた東京通信工業(現在のソニー)の設立趣意書を見ると、「体・用・則」に呼応した言葉として「快・小・匠」を発見することができます。創業者の井深さんは企業活動を通じて、企業内・社会に対して「快」なる状態を作ることを「理想状態」としました。「使命」として掲げたのは「小」なる電気製品を提供することです。そして「快」と「小」をつなぐ「則」として「匠」を掲げた訳です。
 北品川にあるソニー歴史博物館で聞いたお話ですが、技術者が新製品を開発した時に創業者の井深さんはサムシンググレートの視点からその製品を世に出してよいかどうかを判断していたそうです。サムシンググレートの視点とは、「天意」と言ってよいと思います。理念価値である「快」にふさわしいかどうか、根源の理念価値である「真・善・美」にかなっているかどうかをジャッジしていたのです。又、「匠」に対しても徹底的にこだわり、物真似を嫌いオリジナルな創造的技術を求めたと言われております。経営者の天意に沿った熱き念いが社員に共有化されていた為に、驚異的な創造と発展がなされたと思われます。

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