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経営階層に求められる能力とは?

第4回  相生相剋とシステム思考

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①時系列変化パターングラフ
 これは、「魚の目」として説明したように、どういう変化が起きているかをグラフにて捉えるものです。縦軸に注目している要素、横軸に時系列を指標としてグラフ化することで、変化のパターンが捉えやすくなる訳です。事例では、時刻の変化に伴う都市部の自動車交通量のグラフを示しており、ラッシュアワー時にだけ交通量が増大していることがわかります。又、パターンの捉え方には、「今まで」、「このまま」、「望ましい」の3つがあります。「今まで」で現状のパターンを整理し、「このまま」で現状の延長から描かれるパターン、そして描きたい「望ましい」パターンを明確化するというものです。事例では、「今まで」を描いていますが、「このまま」では変化がなく、そして「望ましい」は、ラッシュアワー時間帯の交通量をもっと低減化して、1日の交通量が平準化するパターンが描かれます。

②ループ図
 これはシステムの主要な要素及びそれらに影響を与える・受ける要素を列挙し、要素間の因果関係と相互作用(フィードバックループ)を整理する手法です。事例では道路渋滞が起こることで、渋滞解消の要望が増え、その対策として道路建設を行って道路渋滞を緩和するループ図を上段で示しています。道路建設により、道路渋滞を緩和するので、このようなループ図を「バランスループ」と呼びます。一見すると、これで問題解決したかのように思われますが、現実は道路建設の利便性を活用する形で郊外の宅地開発がなされて、以前よりもまして交通量が増えてしまい、渋滞が発生してしまう結果となってしまいます。道路建設が、予期せぬ形で少し遅れて道路渋滞を増加させるループ図を「自己強化ループ」と呼んでいます。
 このままでは、膠着状態で問題が解決しません。そこで、道路渋滞を引き起こしているループが他に潜んでないかを考えます。①の時系列変化パターングラフでは、ラッシュ時の自家用車交通量が高いことを示していたので、公共交通機関と自家用車の利便性の違いが「自己強化ループ」を作っていることが浮かびます。

 問題の解決には、「バランスループ」を強化するか、「自己強化ループ」を抑制するかのどちらかの対応策が必要です。そこで取られたのが「自己強化ループ」を抑制するために、自家用車の利便性を低下させる策が考案されました。ラッシュアワー時の流入車両に対し、流入税を設定する方策が導入されました。この結果、相対的に公共交通機関の優位性が高まり、ラッシュアワー時の渋滞が改善されることとなりました。これはロンドンをはじめとして世界のいくつかの都市で実践されている方策で、ラッシュアワー時間帯や混む半日の時間帯で実施されています。このような膠着状態の効果的対策をレバレッジポイントと呼びます。

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