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経営階層に求められる能力とは?

第4回  相生相剋とシステム思考

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相剋は時として短所を補い合う「相補性」となりうる

 相剋は二気間の相殺と前節で説明いたしました。しかし、見方を変えると相剋は相補性の働きと捉えることができます。「水⇔火」は、水があることで猛火を防ぎますし、火があることで水を気化(向上)させることができます。経営ビジョン・理念・使命が浸透すると、マーケティング・営業の方向性を指し示すことができますし、一方、マーケティング・営業の活動が、逆に経営ビジョン・理念・使命の質を高めていくという関係と捉えることができます。「木⇔土」は、木があることで土の崩壊を防ぎますし、土があることで木が生育できます。製品・サービスの研究・改善・開発は、市場の維持に役立ちますし、一方、市場の存在は、その市場動向の変化から、製品・サービスの研究・改善・開発を促していきます。「火⇔金」は、火があることで金属の加工が可能となりますし、金があることで火を有効に活用することができます。マーケティング・営業活動を通じて得られるクライアントニーズの把握が、システムや制度の維持や刷新の目安となりますし、一方、既存システムや制度の存在が、逆にマーケティング・営業の方向性を指し示すことになります。「土⇔水」は、土があることで水の氾濫を防ぐことができますし、水があることで土が舞い上がることを抑えることができます。市場動向は、経営ビジョン・理念・使命の見直す視点を提供しますし、経営ビジョン・理念・使命は、逆に製品・サービスの市場におけるターゲットを明確に指し示すことになります。「金⇔木」は、金があることで木を加工したり有効に活用することが出来ますし、木があることで金を人が使いやすくすることができます。
既存のシステム・制度は、経営基盤として製品・サービスの研究・改善・開発のベースとなっていますし、逆に、製品・サービスの研究・改善・開発の活動が、既存システム・制度の有効性を長持ちさせていく関係となっています。
 大学・中庸にも「過及(かきゅう)」と「不及(ふきゅう)」という言葉がありますが、前者は過度な状態を意味し、後者は不足の状態を意味しています。ですから、相生と相剋は、五気の働きをほどよく整えて、お互いを活かす形で用いることを示していることになります。仏教でいう中道、極端を離れ中なる道にこそ、最適状態があるということですね。

システム思考

 日本では、ピーター・センゲの著した『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』徳間書店、1995年)により、「システム思考」が有名になりました。本稿の2回目で経営者の能力として「観の目」の重要性を説きましたが、この「システム思考」は、観の目を育てる有効なスキルですので、ここで紹介したいと思います。
 システム思考で使われる代表的手法としては、以下の3つです。

①時系列変化パターングラフ
②ループ図
③システム原型

 次ページで、都市部における「道路渋滞と道路建設」の事例を元に、この3つのシステム思考の手法を説明したいと思います。

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